多くの南米諸国は今、大陸の盟主であるブラジルがルーラ前大統領の下で推し進めてきた「ブラジルモデル」の行方を、かたずをのんで見守っている。
ブラジルモデルとは、マクロ経済を安定させつつ、同時に格差の是正や貧困対策など社会政策に注力し、経済力をつけていくというもの。一見相いれない政策を両立させる壮大な試みを、新政権がどう仕上げていくのか注視されているのだ。
ルーラは8年間の任期中で、このブラジルモデルの構築に、おおよその道筋をつけることができたと評価できる。就任早々、ボルサ・ファミリア(条件付き現金給付)など貧困対策を打ち出す一方、2005年にはIMF(国際通貨基金)からの借り入れを完済。07年には純債権国への転換にこぎ着けた。再選後は、経済成長促進プログラム(PAC)を政策の目玉として提示。主としてインフラ構築に約33兆円を投じ、ブラジルの経済成長を牽引してきた。
二兎を追う難しいモデルに道筋をつけることができた理由の一つには、退任時においても8割の支持率を誇ったルーラへの、国民からの圧倒的な支持がある。
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