「安心して出産できる会社」の探し方 産休期間と産休取得者数を押さえよう

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Q3:入社した後に、女性だからといって不利になることはありませんか。成果を上げれば評価してもらえるのでしょうか。

キャリアアップ志向の強い女性にとって、女性社員にも重要な仕事を任せてもらえるかどうか気になることでしょう。男女雇用機会均等法があるので男女差別はないはずですが、実際は男性社員ばかり昇進して女性は昇進が遅れる企業があります。

商社、建設業では女性役職者が少ない

そこで、『就職四季報女子版』の【女性の役職者】をチェックしましょう。女性役職者数と男女合計の役職者数が掲載され得ています。女性役職者数を男女合計の役職者数で割ると女性役職者比率が算出されます(女性役職者数÷男女合計の役職者数)。

女性役職者の役職者全体に占める比率は、会社によって大きく異なります。「平成26年版 厚生労働白書」によると、日本の女性役職者比率の平均は15.4%。現時点において女性役職者比率が15.4%を上回る企業は、女性にチャンスを与えている企業と言えます。

女性の役職者比率が高い業界としては、先ほど挙げた百貨店に加えて生命保険会社が挙げられます。第一生命35.2%、住友生命22.2%、太陽生命18.3%などとなっています。

一方、女性役職者比率の低い業界は総合商社です。たとえば、三井物産では役職者総数が3300人に対して、女性役職者は67人にすぎません。女性役職者比率は2.0%です。住友商事は役職者総数が2557人に対して女性役職者は57人で、女性役職者比率は2.2%。

そのほか、建設業界も女性役職者比率が低い業界です。最大手の大成建設は役職者総数5226人に対して、女性役職者は36人で比率は0.7%と1%割れです。そのほか、鹿島0.9%、清水建設0.4%、竹中工務店1.8%となっています。建設会社は社員の男性比率が女性よりも圧倒的に高いのですが、それにしても女性比率が低すぎます。

政府は2020年までに「指導的地位に占める女性の割合を30%程度にする」との目標を掲げて制度の整備を進めているので、徐々に日本企業の女性役職者比率は上昇していくでしょう。しかし、現時点での比率がこれだけ違っていれば、業種選択によって女性のキャリア形成は大きく違ってくるでしょう。

(撮影:風間仁一郎)

田宮 寛之 経済ジャーナリスト、東洋経済新報社記者・編集委員

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たみや ひろゆき / Hiroyuki Tamiya

明治大学講師(学部間共通総合講座)、拓殖大学客員教授(商学部・政経学部)。東京都出身。明治大学経営学部卒業後、日経ラジオ社、米国ウィスコンシン州ワパン高校教員を経て1993年東洋経済新報社に入社。企業情報部や金融証券部、名古屋支社で記者として活動した後、『週刊東洋経済』編集部デスクに。2007年、株式雑誌『オール投資』編集長就任。2009年就職・採用・人事情報を配信する「東洋経済HRオンライン」を立ち上げ編集長となる。取材してきた業界は自動車、生保、損保、証券、食品、住宅、百貨店、スーパー、コンビニエンスストア、外食、化学など。2014年「就職四季報プラスワン」編集長を兼務。2016年から現職

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