ゼンショーついに米国牛輸入再開、「吉野家」崩しへ最終戦争

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 一方、ゼンショーは単品の牛丼勝負を避けて、トッピングなどバリエーションを増やすことなどで新規層を開拓してきた。新たに米国産を使えば、牛丼での真剣勝負に持ち込めるとの見方ができる。

食肉世界最大手と契約

運よく風向きも変わった。ゼンショーが懸念していた安全性は、米国で09年10月から飼料規制が強化されたことで大きく前進。これを機に、ゼンショーは米国での牛肉調達について今年6月から本格的に調査を開始。最終的に輸入契約にこぎ着けたのが、ブラジル資本で食肉世界最大手のJBS社だ。

J社が米テキサス州に保有する穀物肥育場から、ゼンショー子会社のグローバルフーズが直輸入。BSEの原因と疑われる原料を含まない飼料のみを与えた牛肉を「ゼンショー安全飼料牛」と独自に認定する。J社は飼育履歴をすべて管理しており、生産・飼料・加工場までの流れを一貫で掌握できる。

予防衛生学専門家の山内一也・東京大学名誉教授は、「米国牛全体では安全性が完全に証明されていないが、(ゼンショーは)調達先を1社に限定することで、防疫学的にもかなり安全度が高い仕組みになっている」と指摘する。

BSE感染防止最大の焦点である、牛の飼料の加工や配合作業の確認も第三者機関を設けて実施する。「日本では過去に例のない、最も厳しい基準を設けた」(J社日本支社)。

加えて、足元では米国産と豪州産の牛肉の相場が豪ドル高騰の影響で、縮まっていることも好材料だ。食肉業界では、来年春にも米国牛の輸入制限緩和があるとの見方もあり、今後は米国牛自体の相場下落も期待されている。

価格競争で勝ったゼンショー。米国産という同じ土俵で吉野家と最終戦争に挑む。

◆ゼンショーの業績予想、会社概要はこちら

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(二階堂遼馬 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2010年12月11日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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