パン焼き器GOPAN大人気のヒミツに迫る!《それゆけ!カナモリさん》

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 2)両立性:既にあるものと置き換えたり、放棄したりせずに済むという意味では、既存のパン焼き器ユーザーよりも、新規ユーザーが新たに「ホームベーカリー」を取り入れ、同じ米粒という食材で「パン食」と「ごはん食」を両立できるという、両立性の気軽さが受けたのだと思われる。

 3)試用可能性:お試しやデモでの購入前確認ができることは、三洋電機の販促の設計通りだ。さらに、試食した人などが「海苔の佃煮や納豆など、和食素材をのせて食べるとおいしい」などという書き込みをネットにしていることも試用の代替として機能している。

 4)複雑性:消費者が理解できないほど原理が複雑ではなく、ありがたさがわかる適度な複雑さを持っていることも普及の要件だが、「米粉を本体内で炊飯器のようにコメを水に浸して軟らかくしたうえで、高速回転する羽根で砕きペースト状にして焼き上げる」というような説明がメーカーからなされている。なるほど感が適度にあるといえるだろう。

 5)観察可能性:「目に見える効果」を意味するが、誰も製品を手にしていない状態で盛り上がっているため、家庭内での使用者の観察はなされていない。しかし、前述の試用可能性にあるネットの書き込みなどを参照することによって、「見える化」された効果を代替的に実現している。

 本体の約5万円という価格(Price)はどう消費者に受入れられたのだろうか。従来品の2倍の価格だという。さらにネットでのオークション価格はさらにその倍の価格が付いて、それでも買い手がついている。

 Price(価格)ではなく、Customer’s cost(顧客のコスト)という視点から見てみよう。イニシャルコストとランニングコストの両面で考えると売れるワケが見えてくる。三洋電機によると米粒を使って1斤のパンを作る費用は、従来の米粉を使う機種は340円であるのに対し、米やイースト、グルテン、砂糖などの材料を合計しても150円だという。

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