「嫌韓CM」席巻!台湾の過激な選挙事情

台湾統一地方選で国民党が嫌韓を前面に

また、米国とのFTA交渉に関しても、農業分野を中心に大規模な反対デモが発生。結局、多額の補償金をはじめ、手厚すぎる補償策をも用意して、ようやく世論の合意を成し遂げた苦渋も味わっている。それほどまでに韓国がFTAを推進したのは、「輸出立国こそ経済の根幹とせざるを得ない韓国にとって、通商面でのインフラづくりこそ重要」(韓国政府関係者)という政策目標があったためだ。

そんな韓国の実状を知れば、国民党が今回作成したCMは、外国人から見てもお気軽すぎる。台湾内でも、「地方選のこの時期に国政レベルの問題を取り上げて対立陣営を攻撃するのは卑怯」「国民党の台北市長候補さえ、この問題をはっきり応えられないのでは」「韓国をつかって台湾を愚弄するな」という批判的な声が高まっている。

韓国の成功体験を学ばない馬英九政権

そんな状況を、ソウル在住の台湾人ジャーナリストである楊虔豪氏はこう言う。「韓国に住みながら感じるのは、韓国国民の進取的な性格や競争心と上昇志向の強さだ。それこそ韓国経済を押し上げた要因と評価したい」という。その一方で、「市場強化と競争力をアピールしてきた韓国政権は、時にはメディアを操作し、時には警察力など公権力を発動しながら、それが韓国国民の世代分裂や国内の地域対立を深めさせた」と、楊氏はマイナス面も指摘する。

さらに、「馬英九政権は2008年の総統選挙前には韓国をつかって台湾国民の不安心理を煽り、当選後には韓国の経験に学ぼうとしないし、公約であった景気浮揚策も実施できていない。ご都合主義で韓国を使うばかりで、政権維持の道具にしかつかっていない」(楊氏)と手厳しい。

結局、政権維持や国民の不満をそらすために他国を引き合いに出すことは、扇動的で場当たり的なものにすぎない、ということだ。

外国と比較し、外国が持つマイナス面を引き合いに出して自国のことを語っても何の生産性もない。一時的な清涼感を得るだけで、余計な摩擦や混乱をさらに招いてしまうことを、国民党の行動は教えてくれる。

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