ソニーのスマホ事業、今やるべき4つのこと

生き残りのために必要な戦略とは?

トップメーカーが価格競争を挑み始めれば、ソニーのような新興メーカーでもなく、かつナンバーワンでもないような中途半端なメーカーは押しつぶされ、存在感を失いかねない。はじめは中下位機種だけが影響を受けるだろうが、しばらくすればソニーが得意としている上位モデルでも競争力を削がれることになるためだ。その意味では、スマートフォン市場で一定の地位を確保するために残された時間的猶予は多くない。

しかし、新興国市場開拓で出荷数を伸ばす従来の戦略を諦めることで、むしろやらねばならないことはハッキリしてきたとも捉えることができる。ソニーモバイルの新経営陣がやるべきは、4つある。

ラインナップを絞り込むべき

まず、製品数の大胆な削減だ。現在のラインナップは、あまりにも多すぎる。売れ筋が上位機種に限定されている日本だけを見ても、ソニーはグローバルモデルのXperia Zシリーズを3サイズ展開した上で、その派生モデルをNTTドコモとKDDIに、それぞれ専用機種として提供している。

海外に目を向けると、売れ筋価格帯の違い、経済格差などを考慮して、地域ごとに分岐させた派生モデルを展開している。これを2~3機種程度に減らすべきだ。

今年年末向けの端末で言えば、5.2インチディスプレイを搭載するXperia Z3、4.6インチディスプレイのXperia Z3 Compactの2機種のみに絞り込み、台数が一時的に減ったとしても利益をしっかりと確保する。開発リソースや流通戦略の簡素化という意図もあるが、完成度の高い製品に集中することでブランド価値を高めることもできるはずだ。

今のように機種が多岐にわたっていると、機種それぞれに各国の携帯電話キャリアと販売戦略をネゴシエーションしなければならない。その経費は馬鹿にできず、利益を圧迫する原因のひとつにもなっているという。各モデルを売り込み、キャリアの販売戦略に載せていくための営業、マーケティング費用はソニーに限ったものではなく、(アップル以外の)すべてのスマートフォンメーカーにとって悩みの種だ。

また、将来的なサポートコストも下げることができるはずだ。ある程度の期間、基本ソフトであるAndroidの更新版を提供するとして、モデル数が増えるほど、また同じモデルの派生モデルが増えるほど、基本ソフトの更新にかかる開発・テスト費用が増すことは自明だからである。

かつてのソニー製スマートフォンには、こうしたモデル統合を行えるほどの商品力はなかった。しかし、短期間での改良を続けた結果、現行世代(Xperia Z3系列)はハードウェア、ソフトウェアともに完成度を大きく高めている。ロック画面を外すための生体認証機能が不足しているが、次世代でそうした不足要素を埋めれば、製品数の絞り込みは可能とみられる。

2番目に、モデルチェンジの頻度を減らし商品サイクルを長期化すべきだ。ソニーは経営資源をスマートフォンに集中させると宣言して以降、ライバルと比較して2倍のペースで次々に基本設計を更新してきた。すでに製品の完成度が上がった今、アップルのように「メカ設計を2年、電気設計を1年」というくらいの長期単位で行うのが理想である。

モデルチェンジの頻度を減らすことは、開発体制の見直しにもつながる。長期的なロードマップを掲げながらも、次のモデルチェンジまでに盛り込むべきことを明確化し、その課題解決に集中する体制が必要だ。

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