ソニーのスマホ事業、今やるべき4つのこと

生き残りのために必要な戦略とは?

出荷台数の見込み違いがあったことは確かだ。グローバルでの存在感を高めるために満を持して参入した中国市場から撤退するといった話は、決して良いニュースではない。

しかし、その背景はもう少し分析しておくべきだろう。ソニーが打つべき方策について触れる前に、中国市場の変化について簡単にまとめておきたい。

まず、昨年と2014年では中国市場で存在感を持つメーカーの顔ぶれが大きく変化している。昨年初頭の段階では、存在感のある中国のスマートフォンメーカーと言えば華為技術(ファーウェイ)ぐらいしかなかった。ところがスマートフォン事業への参入障壁は大きく下がっている。システムLSIメーカーによるハードウェア設計支援の充実、グーグルが提供するAndroidの熟成、EMS事業者側のノウハウ蓄積といったこともあり、小米科技(シャオミ)、レノボ、ユーロンといった新興メーカーが一気に台頭した。

台頭という言葉使いは正確ではない。あまりにもすさまじい成長なのだ。すでにシャオミに至っては、同市場のナンバーワンだった韓国サムスン電子を抜き去り、中国市場におけるトップベンダーになっている。調査会社Canalysによると、2014年第2四半期(4~6月)の中国における台数シェアは、シャオミの14%に対してレノボ、ユーロンがサムスンと同じ12%、ファーウェイも11%ある。シャオミ以外のメーカーが、サムスンを抜き去るのも時間の問題だろう。

新興メーカーの躍進止まらず

新興メーカーの急激な台頭を読めなかったのはソニーだけではない。世界最大のEMSであるフォックスコンも同じだ。シャオミは需要の急伸に対応するため、フォックスコンに発注をかけようとした。ところが無名だったシャオミはフォックスコンの担当者の目からは“小物”と映り、蹴ってしまう。その後、大魚を釣り損ねたフォックスコンのトップであるテリー・ゴウ氏は「誰がシャオミの発注を断ったのだ!」と激怒したという。

事の真偽はともかく、そうした話が語られるほど中国メーカーの伸びは突然で急激なものだったのだ。サムスンもさすがにこの影響から逃れられず、すでに決算で大幅な減益を発表しているが、すでに大きく風呂敷を拡げていることもあって簡単に撤退というわけにもいかない。需要急減で生産は絞ったものの、大量の在庫をまだ抱えたままと言われている。

現在のところ、こうした中国メーカーは中国国内市場でしか売れていないが、時間の問題でアジア各国に拡がっていくとみられる。新興国での販売台数が多かったサムスンは、これから難しい舵取りが求められることになるだろう。

こうした環境下でソニーは、どのような戦略を打ち立てるべきだろうか。中国をはじめとする新興国市場については、まだ風呂敷を大きく拡げる前に見直しをかけることができたという点で”運が良かった”とも言えるだろう。平井氏は今年1月International CESにおける取材で「スマートフォン事業の新興国への拡大が強気すぎると言われているが、市場環境の変化を中止して、想定外の状況が起きたなら、いつでもブレーキをかける」と話していた。当時は聞き流していたコメントだが、中国スマートフォン市場の潮目が変わる瞬間が訪れることを察知していたのかもしれない。

スマートフォン市場は、まだ急変は続く。今後、急伸する中国メーカーのAndroid端末は欧米先進国市場にも攻めあがっていくだろう。そうなるとナンバーワンのサムスンが、なりふり構わず価格競争を始めるかもしれない。

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