ヤマハの「3輪バイク」は何がすごいのか 徹底試乗でわかった驚きの性能

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最大の特徴である前輪部分には、二つの車輪が車体と一緒になって傾く(リーン)する機構が設けられた。ヤマハ発動機はこれを「リーニング・マルチ・ホイール(LMW)機構」と名付けているが、車体をリーンさせる機能と、左右のサスペンション機能を独立さることで、車速に応じたリーン角度の確保と、荒れた路面や凹凸を乗り越えた際の乗り心地と安定性を両立している。

また、ヤマハ発動機は世界最高峰の2輪レース「MotoGP」にも参戦しているが、そこで戦っている参戦マシンの設計思想を採り入れることで、車体の前輪:後輪にかかる重量を50:50の理想的な数値にすることができたという。一般的な2輪スクーターの重量配分は後輪寄りになってしまうが、スリーホイーラーである「トリシティ」は前後でほぼ均等に分担できるため、ゆっくり走っても安定感が高く、初心者ライダーであってもすぐに乗りこなせてしまうほどの安心感を生み出している。

この「リーニング・マルチ・ホイール(LMW)機構」の特徴はリーンだけではない。2輪スクーターでは通常、左右に1本ずつ2本のショックアブソーバーを装備するが、「トリシティ」は前2輪となるため左右合計で4本装備する。これにより、路面からの強い衝撃をしっかりと受け止めることができるのだ。

ちなみにこの左右輪は独立して上下に動くため、たとえば片輪だけが段差のあるところを通過しても、車体は水平を保ったまま。2輪スクーターの大部分はその構造上、燃料タンクを挟み込むニーグリップ(2輪走行時の基本操作)ができないため、大きな段差を通過する際、ハンドルや車体に伝わる強い衝撃に対して主に足裏とお尻、そして上半身で身構えるのだが、「トリシティ」の場合、その衝撃は2輪のそれに対して三分の一程度(試乗時の体感値)にまで抑えられる。これには26年以上のライディング歴のある筆者も、正直、肩透かしを食らった。

意外なまでの俊敏性と強力なブレーキ性能

単気筒水冷124ccのエンジンは、原付2種クラスではトップクラスの11PS(馬力)/1.0kgf・m(トルク)を発揮する。独特な車体構成のため車両重量は152キログラムと、同じヤマハ発動機の125ccクラススクーター「シグナス」との比較では30キログラム程度重くなるが、プーリーやウェイトローラーなどが加速寄りに設定されているため数値以上にパワフルで、常用エンジン回転数は高めだが水冷式であるため加速/巡航時を問わずエンジン音には角がなく非常にマイルドだ。

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