エヌビディアは半導体の設計を行う企業だ。
アマゾンは、従業員数が桁違いに多い。このなかには一般労働者が多いため、e欄の数字はかなり小さくなる。
日本のトヨタはどうか?
従業員1人当たり粗利益は、どのような要因で決まるのだろうか?
それをみるために、図表1では、1人当たり粗利益(d)を 1人当たり売上高(f)と、売上高に対する粗利益の比率(g)に分解した。
これらが高くなることが、1人当たり粗利益を、したがって給与を高めるための必要条件だ。
まず1人当たり売上高(f)の値を見ると、アップルが突出して高い値になっている。グーグルやメタがその半分程度だ。マイクロソフトはさらにその半分程度になっている。
参考のために日本のトヨタ自動車を見ると、64万ドル程度だ。テスラより大きいが、アップルに比べると6分の1程度でしかない。
次に、売上高に対する粗利益の比率(g)の値を見ると、メタが80.8%ときわめて高い値になっている。マイクロソフトやグーグル、エヌビディアも5割を超えている。
アップルは42%で、これらの企業よりは低い。ただし、これは従来の製造業に比べると極めて高い値だ。
例えば、トヨタ自動車の場合、この比率は17.8%にすぎない。
トヨタは、「ジャストインタイム」や「見える化」などに示されるように、生産性が高い企業と考えられている。しかし、そうした努力をしても、従来型の製造業にとどまる限り、gの値を2割以上にするのは難しいのだ。
ただし、gの値が高い企業は、シリコンバレー企業にとどまらないことにも注意が必要だ。
例えば、韓国のサムスン電子の場合、この値は40.5%である。台湾の半導体製造会社TSMCも、51.6%という高い値を実現している。
このように従来型の製造業から脱皮した製造業の企業が登場している。
日本の賃金を高めるためには、そのような新しい経済活動への展開を実現することが不可欠だ。
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