賃金を支払う原資となるのは、「粗利益」である。これは、売り上げから原価を差し引いた額だ。ここから減価償却を差し引いたものが、「(純)付加価値」と呼ばれる。これが、賃金・報酬と利益になる。
したがって、従業員1人当たりの粗利益を計算すれば、賃金の平均値についての目安が得られることになる。
先端IT企業の給与が高くなるメカニズム
この値は、公表されている財務データから計算することができる。
その結果を、図表に示した(2021会計年度、連結)。
(外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)
ここには、時価総額の世界ランキングで、上位10位までに入る企業を取り上げた。
d欄に示すのは、従業員1人当たり粗利益だ。
e欄に示すのは、従業員1人当たり粗利益の6割だ。
仮に粗利益の6割が給料になれば、e欄の値がその企業の平均賃金を表すことになる(多くの企業について、平均賃金が粗利益の6割程度なので、こうした計算をしている。ただし、現実の給与は、粗利益以外のさまざまな要因に影響されるため、ここで計算した値から大きく乖離することもありうる)。
結果を見ると、アップルが91.7万ドル、メタ(フェイスブック)が79.4万ドル、グーグルが62.9万ドル、エヌビディアが46.7万ドル、マイクロソフトが38.4万ドルとなっている。
メタ、グーグル、マイクロソフトの場合には、先に見たPrincipal Engineerより1、2割程度低い値になっている(アップルだけは、e欄の数字が、Principal Engineerよりも高い値になっている)。
以上の意味において、e欄の数字は、その企業の給与水準を示す目安になると考えることができるだろう。
なお、図表1に示した企業のうち、テスラはEV(電気自動車)で注目を浴びている企業だ。ただし、e欄の数字は、上で見たIT企業よりは、大分低い数字に1なる。
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