集中力のない凡才と凄まじい天才を分ける決定差 大谷翔平、藤井竜王に共通するイメージ力の秘訣
これまで紹介してきた、イメージ空間を操る能力を「空間認識能力」と呼びます。私は記憶力日本一を6度獲得したのですが、そこまで至れた秘密も、この空間認識能力にありました。イメージ空間を利用し「イメージで考える」訓練を続けた結果、集中力が向上して記憶力も大幅に伸ばせたのです。この訓練では3つの能力を磨きました。
1つめは、与えられた状況を把握する能力です。これがアップすると、いま何が最も重要か、集中すべき情報は何かがパッとわかるようになります。前回記事(「集中力の続かない人がよくやる6つのNGパターン」3月25日配信)でくわしく紹介しているのですが、これを私は「イメージ識別スキル」と呼んでいます。
2つめは、課題に対処するために最適な方法を記憶から引き出して参照する能力です。これは「ワーキングメモリ」とも呼ばれますが、私は「イメージ記憶スキル」と名付けています。
3つめは頭のなかでイメージを動かしながら考える能力で、私は「イメージ操作スキル」と呼んでいます。
「深い集中に入るスイッチ」が手に入る
この3つを鍛えると、イメージ空間を上手に使いこなせるようになるだけでなく、イメージ空間に入りやすくなります。つまり「深い集中に入るスイッチ」が手に入るわけです。
なかでも特に重要なのは、頭のなかでイメージしたものを動かす力です。藤井竜王の将棋の強さは先ほど申し上げたとおりですが、じつは彼は「詰将棋」でも最強でした。詰将棋とは、問題として与えられた将棋の駒の配置から頭のなかだけで駒を動かして最終的に相手の王将をとる、いわば将棋のパズルのような種目です。当時学生だった藤井竜王は、この詰将棋の大会でなんと2019年まで5連覇していました。これは彼のイメージ能力の高さを物語るすごい成績です。
東京大学の池谷裕二教授は「イメージ操作スキル」が向上することで「垂直思考」という一つの問題を徹底的に深く掘り下げて考えていく力、たとえば数学の解答を導くような能力だけでなく、「水平思考」と呼ばれる連想を使って想像力を刺激し、たくさんのアイデアを発想する能力なども養われると述べています。
論理的思考力とも言い換えられる垂直思考は、複数の課題の優先順位をつけるときに有効に働くもので、これはイメージ空間内でのイメージ思考においても使われる力です。
前回:集中力の続かない人がよくやる6つのNGパターン(3月25日配信)
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