「学習」「科学」休刊後、名門出版社が甦った理由 積極的M&Aで「奇跡のV字回復」を実現

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2010年3月に休刊した学年誌の『科学』と『学習』(写真提供:学研)
名門企業・学研の約20年続いた経営低迷期に社長就任。苦難の道を経て、同社を12期連続増収、7期連続増収増益に軌道修正した「奇跡のV字回復」の背景には何があったのか。学研ホールディングス代表取締役・宮原博昭氏の新刊、『逆風に向かう社員になれ』より、一部抜粋・再構成してお届けします。

学研が挑み続けたイノベーションの歴史

学研は創業以来、数多くのチャレンジを繰り返し、次々にイノベーションを起こすことによって躍進を続けてきた。

学研といえば、学年誌の『科学』と『学習』――。両誌ともすでに休刊して久しいが(2010年3月休刊)、いまだに多くの人にこう言っていただけるのはありがたいことである。

この『科学』の売り上げアップの起爆剤となったのが「付録」である。両誌が刊行されたのは終戦直後であり、当時は学校の理科の授業で実験を行おうにも人数分の器具がそろわなかった。そこで、雑誌の付録として実験器具を付けたところ、子どもたちから圧倒的な支持を得た。

『科学』の付録については、今でもたびたびテレビ番組などで取り上げられるほどに根強い人気があるが、これほどまでに支持される理由は諸先輩方の多くのチャレンジによるものだと思う。

たとえば、1986年に付録としてつけた「ツタンカーメンのエンドウ」が代表的な例だろう。イギリスの考古学者が発掘したエンドウ豆から復元した種子を付録にしようと、通常3年かかるところを、最先端のバイオ技術で短期間に再現して大きな話題を呼んだ。

また、こうした付録制作を通じて培ったバイオ技術をもとに事業化されたのが化粧品「アールボーテ」のシリーズや、育毛剤「原生林」などのへアケア商品だった。

『5年の科学』付録「ツタンカーメンのエンドウ」(写真提供:学研)
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