「漢方」と「温灸」は本当に風邪に効くのか 不調のサインが出たらすぐに対処すべし!

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で、「風邪」に関して、どこまで未病で、どこからを已病って考えるのかと。ちょっとウィキペディアにご登場願いましょう。「風邪」の項目。ここには、「症状は、『風邪症候群』と表現されるように、微熱、頭痛、発熱、悪寒、鼻汁の過分泌、咽頭痛、咳、嗄声、食欲不振、下痢、嘔吐など」とあります。

この中で、未病に分類できるのは、たぶん悪寒だけではないかと思います。悪寒って寒気(さむけ)のことですね。「なんかちょっと寒気がするなあ。冷えたかも……」という程度の、アレ。あとは、軽い食欲不振とか、反対に異様な食欲も未病に分類できます。

とにかく、早い段階で対処しよう!

ウィキペディアにある症状をちょっと分けてみましょう。

<未病段階> 軽い食欲不振・軽い悪寒……
(未病段階の症状が徐々に増強)
<已病段階> 頭痛・微熱→のどの痛み・頭痛→鼻汁の過分泌・発熱→咳・嗄声→下痢嘔吐・重い食欲不振

 

こんな感じです。古典的には、東洋医学では六病位(リンク先:漢方デスク)というのを病の侵攻具合の判別に使ってました。

東洋医学では、病邪が体の外から侵攻し、徐々に体内深くを冒していくと考えられていたのです。体表面から6つの部位に分けて、悪化するごとに一段階ずつ深層になります。病気が治るときは一段階ずつ浅層に追い出していく感じです。

上記で分けた症状に六病位を加えると、こんな感じになるかな。

<未病段階> 軽い食欲不振・軽い悪寒・軽い首肩のコリ感
<前已病段階> (未病段階の症状が徐々に増強する段階) 体が熱い感じと同時に寒気があり、頭痛、くびすじの緊張、関節痛、筋肉痛
<已病段階> 頭痛・微熱→強い発熱→熱と寒気が交互に来る。胸脇苦満(わき腹から鳩尾にかけての抵抗感や張った感じ)、食欲不振、 嘔気嘔吐、口の中が苦い、白苔、咽喉の乾燥、めまい、耳閉・のどの痛み・鼻汁の過分泌・咳・嗄声→便秘・腹部膨満→下痢嘔吐・重い食欲不振・腹痛→顔色悪化、易疲労、胸部煩悶、口渇、下痢、身体痛→末端冷え・胸部動悸と上半身熱感、空腹だが食事が取れず、食べると嘔吐。下痢で体内は冷えを感じるが、身体表面には熱があり赤面・発汗あり。この段階になると死が近いとされる。

 

で、葛根湯で治せるのがどのレベルかというと、未病段階が徐々に増強して私が勝手に作った「前已病段階」を経過、頭痛・微熱に発展したところまで、です。

喉の痛みや鼻水が現れたら、もうその段階ではなかったりします。みんな、どの段階で葛根湯飲んでました? たぶん、発熱とか喉の痛みとか咳がでたときに飲んでたんじゃないかな? その段階がどのくらい遅いのか、わかりました?

それで、だ。ペットボトル温灸です。著書の『安心のペットボトル温灸』には風邪の項目があるんだけど、このツボの使い方は、葛根湯とほぼ同等の時期じゃないとすっきり治すのは難しい。だから、とにかく早い段階でペットボトル温灸や葛根湯を利用することが大切なのです。

次ページ正しいペットボトル温灸のやり方とは?
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