日本人の間で進む「清潔こそが正義」社会のリアル 私たちはこの「漂白化」の前にはなすすべもない

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ところで、清潔意識について考えるとき、世の中の実態がほんとうに清潔になっているかを把握してみたい。そこで使用したいのは総務省統計局の社会生活基本調査だ。この調査は国民の生活実態を調査したもので、そのなかに興味深い「身の回りの用事」にどれだけ時間を使ったかを質問している項目がある。

これらは肌のケア、美容、清潔の保持、ドレスアップ、おしゃれ、脱毛、髪のセット、等々が含まれる。

(外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

ネットの普及が関係している?

30年ほどを見てみると、女性は右肩上がり、さらに男性も伸びてきている。注目するべきは男性で平成8(1996)年以降に、急激に上昇していることだ。これらの時代は、バブル崩壊から数年が経ちその凋落が実感できた時期であり、さらにアジア通貨危機があった。さらにインターネットが普及しはじめ、多くの情報が既存メディア以外からも流通しはじめた時期でもある。

このインターネットの普及が、誰もの自意識に影響を及ぼしたと私は思う。これはのちほども触れる。

さて、この影響を工業的な統計からも確認してみよう。経済産業省の鉱工業指数だ。

これは各製造物の趨勢を示したものだ。2015年を100としたときに、全体の鉱工業から比較しても洗剤・界面活性剤関連の出荷の伸びはきわめて順調とわかる。日本人は――といいながらこれは中国などの美容ブームを見ても明らかだが――、私たちの世界はきれいさ、清潔さを求めている。

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