ナダル「僕はいかにしてクズ芸人になったのか」 KOC優勝後の不振から学んだとても大切なこと

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──『アメトーーク!』に出てからナダルさんのそういうキャラクターが世間で爆発的に広まっていったんですね。

ただ、『アメトーーク!』の「ナダル・アンビリバボー」って特殊な企画なんですよ。初めから僕がフィーチャーされているから、僕が何かを言われて、それに返して笑いが起こる。結構、幅が狭い仕事なんです。

ほかのバラエティー番組では、そういう場面ってあんまりないんですよ。どちらかと言うと、芸人じゃないタレントさんに何か普通の話をされてリアクションを返すとか、そっちのほうが必要とされているんです。

だから、そこからどうしようか、っていうのを結構考えましたね。イジられて返すのは面白いとしても、そこにプラスして何をしたらええんやろ、って。そこで自分発信っていうのも大切なんだろうなと思いました。

見せ方は意識している

──自分から仕掛けていくと。

今までは全部受け身だったんですけど、毎回毎回何か振ってくれるわけでもないので、女優さんとかジャニーズの方にもこっちから何か言って、相手を立てつつ笑かすとか、そういう技術が要るんやなと思うようになりました。

1984年、京都府出身。吉本興業所属のお笑いコンビ「コロコロチキチキペッパーズ」のボケ担当。「キングオブコント2015」優勝。テレビ朝日「アメトーーク! 」の名物コーナー「ひんしゅく体験! ナダル・アンビリバボー」やTBSテレビ「水曜日のダウンタウン」のドッキリ企画などで人気を博す。クズ芸人として名を馳せながらも、SNS社会やコロナ禍において「本音を隠さない正直さ」「忖度(そんたく)しない芯の強さ」といった生き方に多くの共感を呼んでいる。YouTube「よろチキチャンネル」はチャンネル登録者数26万人を超える。

──最初のうちはヤバいところを一方的に指摘されているだけでしたが、だんだんご自分でもそのキャラクターを受け入れて、乗りこなしていく感じになりましたよね。

そうですね。もちろん根っからの聖人ではないですし、本当に悪いことを思っている部分もあるから、それをさらにわかりやすくポップに、笑えるように言おうとはしてます。最初は大変でしたけど、そういうやつなんだって思われるようになってからは、お客さんも笑いやすくなったんじゃないかという気がします。

──ナダルさんは子どもの頃は人の目を気にするタイプだったそうですが、芸人として今のキャラクターになってからは、あまり他人を気にしなくなったんでしょうか?

ほんまのことを言うと、人の目を気にする部分は変わっていないのかもしれないです。他人に悪態をついて笑いにするっていうのは繊細なものじゃないですか。ほんまに嫌がっているとか、お笑いに昇華できてないなという人に対しては、これ以上言っても笑いにならないし、その人が傷つくだけだからやめよう、って思うこともあります。

バラエティー番組で僕が人のことをバーッて言うときは、むしろ相手が悪く映らないように気をつけているかもしれないです。こっちが正論ばかり言っていたら、相手が悪者になってしまうので。

「もう知らん知らん、このペットボトル投げた犯罪芸人が」ぐらいまで言ったら、相手にも悪い部分はあるけど、僕が追い詰められてそれ以上に暴言吐きまくってるひどいやつ、っていうふうに見えるでしょう。そういう見せ方は意識してます。

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