日本人の高血圧の特徴は食塩摂取量の多さであるため、まずは減塩が有効な対策です。現代日本人は1日約10gの塩分を食べていると言われていますが、これは食塩制限の目標である1日6g未満と比較してはるかに大きい値です。普段から味の濃い食事を摂っていると舌が塩味を感じにくくなり、より濃い味付けの料理を食べるようになった結果、知らず知らずのうちに食塩摂取量が多くなってしまいます。しかし、逆に塩分制限によって味覚が改善するという報告もあるため、今からでも減塩を意識した食事に切り替えましょう。
方法としては、料理中に食塩を入れるのではなく、食卓で塩を振ることで少ない塩分でも塩味を感じやすくなります。また、わさびやにんにくなどの香辛料・香味野菜、ごま油やオリーブオイル、酸味のある調味料、香ばしく焼いた食材といった塩味以外の味覚を料理に取り入れることで、塩分控えめでもおいしく食事を食べることができます。野菜や果物に含まれるカリウムは血圧上昇を抑える効果があるため、積極的に食べることも推奨されています。ただし、腎臓に問題があると医師から言われている方はカリウムの摂取を控える必要があるため注意しましょう。
寒い環境では血圧が高くなる
また、食事以外にも日常生活で行える高血圧対策はいくつもあります。運動では、ランニングなどの有酸素運動に降圧効果が期待できます。運動の程度は、自身が「ややきつい」と感じる程度の負荷で30分程度は行いましょう。
さらに寒い環境では血管が収縮して血圧が高くなるため、洗面所やトイレ、脱衣所に暖房設備をそろえておくことで家庭での血圧管理ができます。心理的・身体的ストレスも高血圧の原因になるため、職場や家庭のストレス軽減、じゅうぶんな睡眠の確保、頑固な便秘の解消(いきみによるストレス)といった対策も有効です。
ここまで血圧を下げる観点からお話をしてきましたが、実は血圧の下げすぎも健康によくないことが報告されています。これは血圧が高すぎても低すぎても疾患リスクが上がることから、横軸に血圧、縦軸に疾患リスクとしてグラフを書くとあたかもアルファベットのJの字のようになるため「Jカーブ現象」と呼ばれています。これは、血圧が低すぎると心臓の筋肉に十分な血流が行き渡らなくなり、結果として心疾患が増えることが原因とされています。また急激に血圧が上がる、または下がることも脳心血管病のリスクを高めるとも言われています。したがって血圧コントロールは緩やかに、かつほどよく行うことが重要といえます。
高血圧は、なかなか自覚症状として現れないため、無意識のうちに脳心血管病のリスクが高まっている場合があります。気になる方は日々の血圧を記録し、一度医療機関で目標血圧を相談することをおすすめします。先に述べたような生活習慣の改善は高血圧の治療だけでなく予防としても有効ですので、ぜひ実践してみてください。
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