コロナ禍で子どもの「読む力」急落している実態 読解力低下を憂慮すべきこれだけの理由
新型コロナ禍が3年目に突入する中、低学年の子どものおよそ3人に1人が読解力で基準値を下回っていることが一連の研究で明らかになってきた。状況はパンデミック前よりも著しく悪化している。
バージニア州では、子どもの読解力が昨年秋の時点で20年ぶりの低水準になったという調査結果があり、研究者はこれを「憂慮すべき」状況と呼んだ。
「新領域突入」を示す衝撃のデータ
ボストン地域の極貧地区にあるいくつかの学校では、生徒の60%が読解力に高いリスクの問題があると指摘されるようになっている。マサチューセッツ総合病院(MGH)付属保健医療大学で発話・言語リテラシー研究所の所長を務めるティファニー・ホーガンによると、パンデミック前の2倍の割合だ。
影響はあらゆる層の子どもに及んでいるが、とくに大きな遅れが出ているのが黒人やヒスパニック系、低所得世帯の子どもたちだ。障害児や英語が流暢でない子どもたちにも大きな影響が出ている。
パンデミックが読解力に与えた影響についてホーガンは、「私たちは新しい領域にいる」と話した。小学校卒業までに十分な読解力が身につかなかった子どもは「極めて厳しい」リスクにさらされることになるという。読む力が弱い子どもは、高校からドロップアウトし、大人になってからの稼ぎも少なく、犯罪に手を染める可能性が高くなる。
読解力の危機は、コロナ禍とともに始まったわけではない。2019年には、国内外の学力調査の結果、アメリカの読解力は停滞あるいは低下傾向にあることが明らかになっている。原因は多岐にわたるが、専門家の多くはフォニックスと音素認識、すなわち話されている英語の音を文字と結び付ける基礎的なスキルを教える訓練を受けた教員が不足していることに目を向けている。
こうした問題は、パンデミックで一段と深刻化した。