コロナ禍で子どもの「読む力」急落している実態 読解力低下を憂慮すべきこれだけの理由
子どもたちは本来なら教室で「b」や「ch」がどのような音になるかといった読み方の基本を学ぶことになっているが、対面での授業は感染対策で何カ月も中止された。対面授業が開始されたとき、1年生と2年生の多くは幼稚園レベルのおさらいが必要になっていた。しかし、12月と1月に行われた連邦政府の調査によると、約半数の公立学校で教員に欠員が出ている。中でも欠員が目立つのが小学校と特別支援教室だ。
政府によると、対面授業が完全再開された今年初め、読解力テストで幼稚園児レベルかそれ以下と判定された1年生の割合は、パンデミック前の2倍を超過した。
教員たちは、本の向きや持ち方、著者やイラストレーターの名前がどこに載っているかという基本を教えることから始めた。学校は連邦政府の支援金を使って、バレリーナのミスティ・コープランドが若き黒人ダンサーを描いた『火の鳥』や、黒人の父が娘の髪を手入れする物語『ヘアー・ラブ』など、生徒の大部分を占める黒人やヒスパニック系の子どもが関心を持ちそうな絵本をそろえた図書コーナーを教室に用意した。
政府の支援金は、「ファンデーションズ」というフォニックスの新しいカリキュラムにも使われている。労働者階級が多いコネティカット州ブリッジポートの小学校で1年生を教えるガレンシャ・ジョンは、多くの生徒が抱える読解力問題の深刻さを考えると、こうした取り組みは「緊急レベル」の様相を呈するようになっていると話した。
算数の学力も明らかに低下
算数の学力は2020年3月に学校が突然休校となったコロナ禍の初期段階から明らかに影響を受ける一方、初期の調査の中には、生徒の読解力は安定していると示唆するものもあった。これはおそらく、家庭で子どもと一緒に算数の問題を解くより、子どもと一緒に本を読む親のほうが多かったためだろう。
前出のホーガンは、コロナ禍の中で、初期の発話力と読解力を十分に発達させるのに「必要な刺激を受けられなかった子どもがたくさんいることがわかってきている」と話した。発話力と読解力は密接に関連している。
親や教師の中には、言語能力や読解力の低下をもたらした責任の一部はマスクにあると主張する人たちもいる。ただ、専門家によると、休校と学力低下との関係を裏付けるデータがしっかりと存在するのに対し、マスクが読解力の発達を妨げているという有力な証拠はまだ確認されていない。