必ずしも「独学で難関試験突破は無理」ではない訳 「人間の意志は弱い」に向き合うのが成功のカギ

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公認会計士試験にも挫折しています。2007年、会社を辞めて専門学校に入ったものの、3カ月でついていけなくなりました。2016年には不動産鑑定士試験を受け、合格できませんでした。不合格者のなかではA判定であと一歩だったものの、その後は受験していません。

回り道をして私自身の失敗談を書いてきましたが、ここでお伝えしたかったのは、同じ人間であっても、うまくいったり、いかなかったりするということです。この違いはいったい何なのでしょうか。

実は減量にヒントがあります。成功した10年前と、まったく成功しない現在で、大きく異なるポイントがあるのです。それは「達成した場合のメリット」です。それを意識しているか意識していないかで、当時と今で大きな違いがあるのです。

先の失敗例から考えてみましょう。

強いモチベーションがないとうまくいかない

格闘技の試合に出なくなって、私は20キロほど太ってしまいました。毎年、健康診断で太りすぎと指摘されるものの、検査で引っかかる項目はなく、ほぼオールAの結果が返ってきます。また、結婚して子どももいるので恋愛する機会もありません。ありがたいことに、妻は「太ってもやせてもどっちでもいい」と言ってくれます(興味がないだけかもしれません)。

そんなわけで、強いモチベーションがないまま、健康診断のあと、一応やせたいと考えて減量を始めます。ですが、計画を立てて「今度こそ」とスタートするものの、いつも結果が出る前に続けられなくなります。

やせたい理由は「なんとなく健康になりたい」というふわっとしたものですし、やせて明確にいいことがあるわけでもないです。「絶対にやせなければならない」という動機がないため、心のどこかに甘えがあるのでしょう。そんなわけで、「達成した場合のメリット」はほとんど意識していません。

一方で、現役時代は試合のための減量は失敗したことがありません。もしも当日までに体重を落とせないと、そのまま失格になります。試合に出られないと、日ごろの練習の成果を試すことができないので、悔しい思いをします。

それだけでなく、格闘技は必ず相手がいます。アマチュアの格闘技では、対戦相手も仕事や家庭のスケジュールを調整し、合間をぬって練習や減量を行っています。失格になると準備した相手の機会を奪ってしまうことになり、大変な迷惑をかけます。

この場合、「達成した場合のメリット」というより、できなかった際のデメリットが明確といえるのですが、そのため必死になって努力できるのです。

独学の話に戻ります。私がしてきた経験ですと、1度挫折し、2回目は合格した公認会計士がわかりやすいと思います。

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