ウクライナでの戦争を巡る中国の姿勢にも戦況とともに変化が見られる。中国の薛剣・在大阪総領事は、台湾における中国の敵対勢力に対しプーチン氏によるウクライナ攻撃は「大きな教訓」を含むもので、「弱者は強者にけんかを売るほど愚かであってはならない」と侵攻直後にツイートしていた。
中国もロシア支持一辺倒からトーンダウン
中国政府はその後、表現をトーンダウンしている。中ロの友好関係に制限はないとした2月の首脳会談の共同声明に沿った形で、中国は国連でロシアを支持する一方、ウクライナの主権に支持を表明するとともに民間人の犠牲に懸念を示した。
ただ、台湾に関する中国の言動は相変わらずタカ派的だ。中国の王毅外相は7日、ウクライナが主権国家である一方、台湾は中国の「不可分の領土」だとして両者の比較をはねつけた。さらに、台湾との関係を正式なものとするよう求める米国内の声に警告を発するとともに、インド太平洋版の北大西洋条約機構(NATO)構築を狙っているとして米国を非難した。プーチン氏がウクライナ侵攻を正当化するのにNATOの東方拡大を指摘したのに呼応する。
全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に合わせて記者会見した王外相は、米国の動きについて、「台湾を不安定な状況に追い込むことになるだけでなく、米国側にとって耐え難い結果を招くことにもなる」と述べ、台湾は最終的に母国の懐に戻ると主張した。
ブルームバーグ・ニュースが元当局者や著名な中台関係ウオッチャーら計十数人にインタビューしたところ、具体的な評価にはまだ時期尚早と全員が回答した上で、プーチン氏が始めた戦争は中国政府に台湾への軍事行為を思いとどまらせるとの見方が大勢を占めた。その多くは、プーチン氏が迅速な勝利を達成できずにいることや、ロシア政府の国際的孤立、米国とその同盟国による団結した対応、米軍介入の可能性、国内の反応などさまざまな理由を挙げた。
これに対し、ロシアによる今回のウクライナ侵攻が習主席による台湾侵略をあおるとする少数意見があるのも確かだ。その結果、経済制裁が科されたとしても中国には小さな代償だとし、米国が紛争に軍事介入するか疑問視している。さらに、プーチン氏の動きからは、強度に統制された政治体制の年老いた指導者は外部の識者には合理的とは考えられないようなリスクを進んで取る可能性が浮き彫りとなったという。
原題:
Putin’s War on Ukraine Shows Xi the Dangers of Attacking Taiwan(抜粋)
More stories like this are available on bloomberg.com
著者:Bloomberg News
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら