ウクライナは中国の台湾侵攻を思い留まらせるか 中国はインド太平洋版NATOを構築するなと警告

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ロシアによるウクライナ侵攻に先立ち、米当局者はそれが現実化した場合、中国が台湾攻撃の可能性を念頭に洞察を求める機会と捉えるだろうと警告してきた。だが、侵攻開始から2週間近く経過し、プーチン大統領が仕掛けた戦争は習近平国家主席にとって侵略の工程表というよりも、同様の行動を思いとどまらせるように作用しているものと見受けられる。

戦力の優位だけでは勝利を得ることはできない

台湾とウクライナには多くの点で大きな違いがあるが、いずれも米国と足並みをそろえる民主主義体制であり、独裁主義国家が自国の領土や勢力圏と主張している立場にあるため、しばしば比較の対象とされる。プーチン氏がかねてウクライナ侵攻をほのめかしてきたように、中国も武力による台湾統一の可能性を排除しておらず、最近では台湾周辺での軍事活動を活発化させている。

しかし、ウクライナにおけるロシア側のこれまでの戦況は、戦力の優位だけでは犠牲者を最小限にとどめつつ迅速な勝利を収めるには不十分であることを示唆している。中国による侵攻の可能性を常に警戒している台湾の人々は、ウクライナでの戦争の初期段階でロシアが苦戦している様子に勇気付けられている。

台湾のテレビ局でニュースアンカーを務めた経歴を持ち、現在は与党民主進歩党所属の立法院(議会)議員の林楚茵氏はプーチン氏が命じた戦争について、「中国が想像するほど台湾攻略は容易ではないというシグナルを中国に送るもので、自国より小さかったり軍事的に弱かったりする相手をミサイルで負かすことができるという誤った通説を打ち砕くことにもなる」と語った

台湾新竹市での実弾演習(2021年12月)Photographer: I-Hwa Cheng/Bloomberg

ウクライナ軍はこれまでのところ首都キエフや他の戦略的要衝でロシア軍に抵抗し、ドイツや日本、シンガポールなど従来は慎重姿勢だった国々も含め、世界中の政府が前例のないスケールの対ロシア制裁に参加した。ロシア軍は集合住宅や欧州最大の原子力発電所さえも無差別に砲撃し世界にショックを与えた。ロシア側は軍事目標だけを攻撃していると主張している。

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