「奨学金600万円」借りた女性が苛立つ「ある一言」 借りていない側の「借金扱い」に納得いかない訳

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自身が家の事情で夢を諦めたため、「自分の子どもには絶対、お金が理由で夢を諦めてほしくない」という考えを持っていた松村さんの母。だが松村さんの父は自営業で、収入は不安定だった。

「きょうだい3人とも高校までは学費を出してもらえたのですが、父は『大学進学は自分の意志』という方針でした。その結果、姉と私は奨学金を借りて大学に進学しました。

両親も『自分の夢を追いかけなさい。なりたい夢があるなら、奨学金は無駄なお金ではない』みたいなノリだったので、奨学金を借りるときも『どうして、借りないといけないの?』とはまったく思わなかったですね」

こうして奨学金の力を借り、看護師の道を目指すことは決まった松村さん。問題はどの学校に進むかだが、選んだのは私立の看護学校だった。

「歴史が長く、実習先の病院が充実していたのが、進学を希望した理由です。また学長がいろんなお医者さんと知り合いのため、就活で倍率の高い病院を受験した際、採用してもらえるように頭を下げに行ってくれる……そんな話を聞いていたのもひとつの理由でした」

将来の就職を考えると、確かに実習先や就職先は重要ではある。しかしそのぶん、私立や4年制ということもあって、松村さんの志望した大学の学費も他と比べると高かった。そこで、その学費は600万円の奨学金(第二種・有利子)で払っていくこととなった。

勉強・バイトに全力投球

その後、松村さんは無事に志望していた看護大学に進学した。実家から電車と自転車を使って40分。月曜日から金曜日まで、ビッシリ勉強漬けの日々である。

「毎日1〜4限まであって、すべての講義が終わるのは夕方17時前。高校生活とあまり変わらなかったのですが、勉強ばかりだとストレスがたまるため、金曜日の夜は友達とカラオケに行ったり、食べ放題のバイキングに行っていましたね。実家暮らしだったので、金銭的には問題ありませんでした。ただし、一般の大学生のように1限をすっぽかしたりとか、オールで徹夜したりとかはしませんでした」

一般的な大学生のようにサークルや部活動での出費がないのであれば、そこまで娯楽費もかからないが、松村さんはそういった生活・娯楽の費用は奨学金から出すことはなく、アルバイトで賄っていたという。

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