ウクライナ侵攻「正しい情報」見抜くプロの読む力 「陰謀論、間違った情報」にだまされない秘訣
彼らの発信を見ていると、意見や予測の違いなどはもちろんあるものの、ウクライナとロシアについて「共有されている認識」というものがしっかり存在することがわかってくる。先ほど紹介した陰謀論や誤解の数々は、専門家たちの「共有されている認識」とかけ離れているのだ。
私は、新著『現代病「集中できない」を知力に変える 読む力 最新スキル大全』(以下『読む力』)で、ツイッターを「情報ツール」として使いこなす方法を「新型コロナ」を題材にくわしく解説した。
いちばん大切なポイントは、「ただひとりの専門家」を信じてしまうのではなく、専門家を「群れ」でウォッチしていくということである。
『読む力』のメソッドに基づいて、私はロシアのウクライナ侵攻が始まる少し前から、外交・安全保障や軍事の研究者、国際情勢にくわしいジャーナリスト、ウクライナに住んでいる現地の邦人などのツイッターアカウントをだんだんと収集し、リストを作成してきた。「ウクライナの専門家の群れ」のリストである。
そのリストは「ウクライナ情勢」と名づけて公開しているので、ご興味があれば追いかけてみてほしい。登録させていただいたアカウントは、現在は30人ぐらいになる。
「ウクライナ侵攻」は専門家同士でも異論が多い
「専門家の群れ」リストのつくり方を、ここで伝授しよう。
『読む力』では、新型コロナについての「専門家の群れ」を探す方法を解説した。医療は自然科学なので、専門家で共有されている認識が非常に多く、真っ当な専門家であれば意見の違いは少ない。
だから「専門家の群れ」は比較的に追いやすい。しかし、ウクライナ侵攻は自然科学ではないので、いろいろな意見があり、専門家同士でも異論が多いことが予想できた。
そこで新型コロナとは少し違うアプローチを採用した。まずベースとなる原則は次の3つである。
②ほかの専門家へのリスペクトを持っている
③専門家は公式な専門用語をきちんと使う
この3つは自然科学であろうが社会科学であろうが、あるいはほかの業界であろうが、あらゆる分野に当てはまる「3原則」である。
では、1つずつ説明しよう。
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