老後貧乏に陥りかねない「住宅手当で賃貸」の罠 引退後に収入減ってものしかかる「多額の家賃」

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freeangle / PIXTA

東京の賃貸住宅市場で今最も品薄な間取りは2LDKだ。こんなこと過去にはなかったので、市場関係者の間では話題となっている。需給バランスが逼迫すれば家賃は高騰する。今や、ワンルーム並みの坪単価で取引されている広い面積の物件も多い。例えば、浅草駅徒歩5分55㎡の平均賃料は20万円(坪単価:12000円)にもなる。

こうなった理由は短期的にはコロナの影響が大きい。リモートワークが増え、自宅での仕事場所を求め、「もう1部屋需要」が生まれ、引っ越しする人が増えた。こうして、単身者はワンルームから1DKに、2人住まいは2LDKにという流れができた。とはいえ、これまでの需要とは異なり、マンションの開発には2年程度はかかるので、供給はすぐにはできない。当面、1DKと2LDKの需要過多の状態は続きそうである。

買い損ねた人は買い損ね続け…

短期的な理由にコロナを挙げたが、ここ数年の傾向で言うと別の理由がある。それは分譲マンション価格の高騰である。2013年から本格的に始まったアベノミクスによって、日銀の金融緩和は異次元に行われ、資金が大量に不動産事業者に流れた。こうなると、開発用地の仕入れ価格は高騰の一途をたどり、それ以前の1.6倍にマンション価格は高騰した。根拠のない暴落論に戸惑い、買い損ねた人の多くは買い損ね続けて、今となっては買えない人たちになってしまった。買えない人の選択肢は毎月の家賃を数万円上げることに絞られ、2LDKを欲しがる層の増加となって現れたという訳だ。

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