人口3590人過疎地の園に通う「保育園留学」の凄み 短期滞在者の増加による地域活性化にも期待
都市部でよくみられる、園庭の狭い保育園や幼稚園、ビルに囲まれた公園……そこで過ごす子どもたちを見て、豊かな自然のなかでのびのび遊んでほしいと感じている保護者も多いのではないだろうか。
しかし、最近よく聞かれる「教育移住」となると、仕事や家庭の都合で難しい場合がほとんどだ。現状の子育て環境に疑問を感じるものの、現実的な解決策が見当たらない人に、今じわりと注目を集めているのが、北海道檜山郡厚沢部町への「保育園留学」だ。
家族で厚沢部町に1~3週間滞在し、子どもは現地の保育園に通い、都会ではできない自然との触れ合いなどを体験。一方、保護者は短期滞在用住宅でリモートワークをすることもできる。休日は、家族で野菜収穫やサイクリングなど、現地での暮らしを楽しめる。
さらに、保育園留学は、地域と町外の家族が密接に関わることで、地域課題の解決にも貢献しているようだ。家族や町に新たな可能性を生み出す「保育園留学」について取材した。
四季折々の自然体験ができる保育園留学
「いま子どもたちが夢中なのは、雪を色水で染める遊びです。カラフルに染まった雪は、再び宝石のように凍るんです。スコップで雪を掘って、宝石探しをする子もいます」
雪の降る地域ならではの遊びについて教えてくれたのは、受け入れ先の厚沢部町認定こども園「はぜる」の橋端純恵教諭だ。都市部に住んでいたらなかなかできない体験を、保育園留学ですることができるという。
保育園留学は内閣府が推奨する「一時預かり事業」を活用しており、住所地の保育園や幼稚園に通っていても、受け入れ先自治体の保育施設に空きがあれば一定期間子どもを預けることができる。
留学中、子どもたちは園でどのような体験をしてきたのだろうか。昨年末に1週間の保育園留学を体験した佐藤圭君の母、綾子さんにお話を伺った。
普段雪の降らない都市部に住む圭君は、保育園留学をするにあたって、とくに雪遊びを楽しみにしていたという。留学前に実施される、園とのオンライン面談でも「雪遊びがしたい」と話していた圭君。留学中は、3日かけて雪でかまくらを作ったという。現地の子どもたちと、薪ストーブでシチューを作ったことも思い出になった。
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