ところが、アベノミクスの消費増税を争点に解散総選挙に踏み出し、財政健全化を旗印として、増税先行を呼び水として権益拡大を図る政治勢力を、安倍政権が抑え込む方針に転換したのだろう。
日本の政治制度において首相の権限は元々強く、解散権をうまく使えば圧倒的な政治力を行使することができる。選挙の結果次第では、増税に邁進する霞が関とその代弁者となっている「一部マスコミ」の声も小さくならざるを得ないのではないか。
3月31日付けのコラム「消費増税を急げば、財政健全化はできるのか」でも書いたとおり、急いで増税してもそれで景気回復が止まりデフレ状態に再び近づけば、財政赤字は1990年代以降と同様に増えるだけである。
公的債務拡大を止める財政再建を進めるには、2%の物価安定を実現し、完全雇用と潜在成長率を長期間実現することが必須である。
小泉政権時の「郵政解散」と似ている側面がある
そうした状況に至らないのに、大型増税で景気回復のブレーキを踏む政策は、2012年までに債務危機の局面で極度の緊縮財政を続けた欧州各国と同様に、米財務省が「見直すべき」と警鐘を鳴らすほどの政策ミスということだ。
以上の経緯を踏まえると、今回の解散総選挙は、2005年の小泉政権時の郵政解散と似ている面がある。当時は自民党が圧勝、株価も大きく上昇した。
アベノミクスが当初目指していた、経済正常化と脱デフレ路線を徹底する政策に戻ることで、いったんつまずいたアベノミクスが成功する可能性が高まったのではないか。
消費増税先送りは、アベノミクス第2幕の始まりである。
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