介護にお金を出さないのが「親不孝」ではない訳 何年続くかわからぬ介護は「親のお金で」が鉄則

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安藤:なるほど~。なんだか複雑ですね。

太田:そうなんです。介護には100人いれば、100通りのケースがあり、かかる費用も人それぞれのため、一般的にいわれている金額が必ずしも自分の親に当てはまるとは限りません。介護にかかる費用で大切なことは、「いくらかかるのか?」ではなく「いくらまでかけられるのか?」ということ。

親の「収入・資産」内で利用サービスを決める

安藤:いくらまでかけられる?

(出所)『知っトク介護 弱った親と自分を守るお金とおトクなサービス超入門』(以下同)

 

太田:つまり、親の収入や資産でまかなえる範囲で利用できるサービスの利用を考えようということです。可能であれば親の資産状況を確認し、「いくらまでかけられるか」をきちんと精査することができれば、その範囲内でのサービス利用を考えることで、「お金が足りなくなった!」という悲劇を避けることができます。

安藤:いくらまでかけられるのか? ということは理解しましたが、その目安を知るには、親がどのくらいのお金を持っているのかを明らかにしないとダメってことですよね? 「いくら持っている?」って突然聞いたら引かれますよね。

太田:そうですね。離れて暮らしていて、たまにしか話をしないのに、突然「貯金はいくらあるの?」とは聞きにくいですよね。そこで、まず、月々の公的年金額を聞いてみましょう。年金額くらいなら話してくれるかもしれません。

安藤:なるほど~。だいたいの金額でいいですよね?

太田:そうですね。ひとつ注意してほしいポイントは、公的年金の支給は2カ月に1回になります。なので、親が1回あたりの年金額を40万円受給していると教えてくれたら、2で割ることで、1カ月あたりの金額がわかります。

『知っトク介護 弱った親と自分を守る お金とおトクなサービス超入門』(KADOKAWA) 。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

安藤:年金の受給って2カ月に1回なんですね。知らなかったです。

太田:毎月かかる費用は、公的年金から支払うことに決めるなど、ルール化するといいでしょう。もし、親の預貯金をざっくりでいいので把握できたなら、上の計算式を使って1年間で介護費用をいくら使えるのかをシミュレーションしてみてください。現在の親の年齢・貯蓄額・毎月の年金額を当てはめると1年間に使える金額がわかります。その費用から、生活費や交際費などを差し引いたものが介護に使えるお金になります。年齢は、105歳まで生きると想定したほうがより安心です。

安藤 なつ(メイプル超合金) お笑い芸人

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あんどう・なつ / Natsu Ando

1981年1月31日生まれ 東京都出身。2012年に相方カズレーザーと「メイプル超合金」を結成。ツッコミ担当。2015年M-1グランプリ決勝進出後、バラエティを中心に女優としても活躍中。介護職に携わっていた年数はボランティアも含めると約20年。ヘルパー2級(介護職員初任者研修)の資格を持つ。厚生労働省の補助事業『GO!GO!KAI-GOプロジェクト』の副団長。

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太田 差惠子 介護・暮らしジャーナリスト

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おおた さえこ / Seko Ota

AFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定)。さまざまなメディアや講演会を通して介護にまつわる情報を発信。著書に『親の介護で自滅しない選択』(日経ビジネス人文庫)など多数。

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