これは、中村氏の友人である元ソ連共産党地区委員会幹部の発言だ。2019年2月7日、モスクワ・クレムリンで食事をしながら北方領土交渉の行方について話しているときに発せられたものだという。だとすれば、日本はソ連、ロシアにだまされ続けているということになる。
しかし、それはさておいても、もしこれが本当にロシア人の国民性の1つであるならば、今回のウクライナ情勢が少しだけ理解しやすくなるような気もする。
「約束」をめぐるトラブル
だがわたしは昔から、約束を交わすときのロシア人の大げさな表現が気になっていた。
「わたしは約束を、厳粛に守ることを誓います」
このことばを聞く限り、忠実に決め事を実行してくれるものと信じてしまう。少し違和感を抱きながら、「こんなに大げさにいってくれなくてもよいのに」と感じることがあった。
いまから考えると、一瞬、誠実さが伝わるかのような言葉だからこそ、相手を信用してはいけないということなのだろうか。(166ページより)
ちなみにこれは、約束の金額以上を吹っかけてきたタクシー運転手とのトラブルについて書かれた部分から引用したものだ。それによると、中村氏が「約束が違う」と指摘しても、運転手は「なぜ、あなたは(かかる時間についてだけではなく)距離について言及しなかったのか。不満を口にするならば、乗車するまえに確認すべきであった」と逆に責めてきたのだそうだ。
そういった経験を通じ、中村氏は1つのことに気づいたという。


















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