韓国ヒョンデ再上陸!車よくても課題が拭えぬ訳 「ZEVのみオンライン販売」斬新な戦略の行方

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このように、近年の自動車産業界で話題の中心であるCASE(コネクテッド・自動運転・シェアリングなどの新サービス・電動化)の要素が融合している、とても興味深い試みであるため、他メーカーや新車販売店各社はヒョンデの動きに注目している。

日本再参入に関する記者会見の9日後、筆者はアイオニックファイブとネッソを神奈川県から静岡県にかけての一般路や高速道路で試乗した。今回は、BEVに関する検証として話をアイオニックファイブに絞ってお伝えしよう。

デジタルの中にある懐かしさ

まず、見た目はとにかく目立つ。ボディ寸法は、全長4635mm×全幅1890mm×全高1645mm、ホイールベース3000mmで、同じくBEVである日産「リーフ」や「アリア」より大柄である。

試乗会の会場に並ぶ「IONIQ5」。独自の雰囲気が漂う目立つスタイルだ(筆者撮影)

デザインは、シャープなカットとデジタルイメージを全面に押し出しつつも、1970年代の「ポニー・クーペ・コンセプト」をモチーフとしているため、どことなく懐かしさを感じさせる。日米欧、そして中国の既存BEVとも一線を画する、独特の雰囲気が漂う。

インテリアは、部屋をイメージしたものだ。近年、BEVを始めとした電動車に採用されることが多いデザイン概念だが、アイオニックファイブは“使い勝手のいい部屋”に感じる。

オフィシャル画像も部屋感覚であることを主張する(写真:ヒョンデ モビリティ ジャパン)

ホイールベースが3000mmもある効果は大きい。車内各所にデジタルとアナログ、双方の感覚が上手く融合しており、走っていて気持ちがとても落ち着いた。また、見切りがよく疲れにくいことも、運転しての実感だ。天井のガラスルーフは明るく、開放感をもたらす。

走りもよい。安心感と楽しさのバランスがいいのだ。リアモーター式と4輪駆動の2モデルを乗り比べたが、どちらもクルマ全体の一体感が強いものの、一部の輸入車BEVにみられる路面からの強めの突き上げといった、ネガティブ要素はほとんどない。

リアモーター式はすっきりとした自然な加速感が、最大出力225kW/最大トルク605Nmの4輪駆動では、3モードあるドライブモードをSPORTにしたときのグイグイとした加速が、実に楽しい。また、パドルシフトで回生ブレーキの回生量を細かくコントロールできるため、さまざまな走行シーンで、クルマ全体のバランスがしっかり決まる。

「IONIQ5」4輪駆動のフロントモーターと制御システム(筆者撮影)

安全運転支援システムの「スマートセンス」は、ワインディング路ではレーンキーピングアシスト(LKA)が適度に効いたり、隣車線のクルマの接近情報をダッシュボード上に丸い画面表示で見せたりと、ドライバーに対する気遣いがほどよい。

次ページ価格は479万円~と戦略的だが…
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