韓国ヒョンデ再上陸!車よくても課題が拭えぬ訳 「ZEVのみオンライン販売」斬新な戦略の行方

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搭載するバッテリー容量はエントリーモデルが58.0kWh、主力モデルが72.6kWhで、リアモーター駆動車の航続距離はWLTCモードで618kmを確保している。輸入車として珍しく、車両から外部への給電機能を持つのも特徴だ。

価格はベースモデルが479万円、最上級の4輪駆動モデルが589万円と、輸入車BEVはもとより、これから続々と登場する日系メーカーの上級BEVと比べても、かなり戦略的な値付けとなっている。

課題は「社会との調和の構築」にある

実際にアイオニックファイブに触れて・走ってみて、ハードウェアとして実に魅力的な商品であることがわかった。だが、大きな課題が1つある。日本の社会全体と「どうやってつながっていくか」という点だ。

販売店がないから社会とつながりにくい、という観点ではなく、再生可能エネルギーの活用、バッテリーの再利用による循環型社会の構築、そして地域社会でのBEVの効率的な利活用など、社会全体におけるBEVのあり方について、ヒョンデが目指す具体的な方向性がまだ見えない。

「IONIQ5」とともに試乗した「NEXO」(筆者撮影)

従来のクルマでは、社会とのつながりといった領域の話は一般ユーザーにとって荷が重く、敬遠しがちなものであったが、BEVの本格普及に向けては、輸入車であっても不可避なプロセスだと思う。

ヒョンデなら、例えば韓国で実際に行っているBEVを使った社会変革について、詳しく紹介することが重要ではないだろうか。日本と韓国では社会環境がいろいろ違うが、人々のBEVに対する関心・悩み・解決方法という点では、日本との共通点が見出せるはずだ。

韓国のヒョンデ本社である、ヒョンデ モーター カンパニーの張在勲(チャン・ジェフン)CEOは、ヒョンデが2009年に日本市場から撤退したことについて「私たちは、日本の一人ひとりの大切なお客様の声にしっかりと耳を傾けることができなかった」と当時の状況を振り返っている。

ヒョンデ モーター カンパニーの張在勲(チャン・ジェフン)CEO(写真:ヒョンデ モビリティ ジャパン)

今回の日本再参入については、まずは日本のユーザー対して、単にクルマを売ったり試乗したりしてもらうだけではなく、ヒョンデがこれから目指す世界感に対して耳を傾けてもらうために、韓国や諸外国で行ってきたBEVやFCEVでの体験をユーザーに丁寧に話し続けることが大切なのではないだろうか。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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