儲からない、という自動車部品メーカーの常識覆し、営業利益率20%の体質目指す--村田薫・日本電産トーソク社長

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儲からない、という自動車部品メーカーの常識覆し、営業利益率20%の体質目指す--村田薫・日本電産トーソク社長

自動車メーカーからの値引き圧力が厳しく、薄利多売で利益率が低いのが自動車部品業界の常識。営業利益率が10%に達すれば驚異的とされるが、日本電産<6594>グループの日本電産トーソクは、今2011年3月期の営業利益率(会社計画ベース)が16.5%と、上場する輸送機器メーカーでは最高水準を達成しそうだ。

「東洋経済オンライン」では、10年4~9月期の決算発表会の後、今期の業績のレビューと今後の見通しについて、日本電産トーソクの村田薫社長にインタビューした。

--10年7~9月期(第2四半期)は前期比でみれば大幅な増収増益。しかし四半期ごとにみると、10年1~3月期(09年度第4四半期)から10年4~6月期(10年度第1四半期)と順調にきて、この期は初めて増益のスピードが鈍ったようだが。 

自動車部品事業は、取引先の生産調整や製品の値引きにより、数量は増えたが売り上げは10年第1四半期に比べて減収となった。一方で、赤字が続いたシステム機器事業は量産品の製造ラインや事業本部を中国に移し、徹底的に原価改善活動をやったことでようやく構造的に黒字が出る体質になった。第2四半期は営業利益率で13.3%は確保しているが、利益水準としては全く満足できるものでなく、非常に不本意な決算となった。

--主な原因は。

自動車部品事業部では、09年第4四半期からあまりにも急激に注文が増えたため、慢性的に増産体制になっており、非効率なことが起きている。たとえば、注文が増えても納品が間に合わないため、製品を航空便で送らざるをえない。上期(4~9月期)だけで1億円近い運送費を航空会社に支払った。

売り上げが落ちているときの原価改善活動は固定費を削ることにあるが、今は売り上げが伸びているので変動費を下げる努力をしなければならない。それなのに増産対応で人が飛び回っており、必要な原価低減の諸施策が打てなかった。

結果として満足のいかない決算になってしまった。今期の期初から言い続けているように、原価改善活動の効果で利益は期末に向けて積み上がっていく。顧客との値引き交渉次第だが、10月~11年3月期にかけて取り返していく。

--自動車部品事業はベトナムでの増産体制が完成し、今後は中国展開を強化していていくとのことですが、今後の展開は。

自動車メーカーは、タイやインドネシアで自動車を組み立てているが、トランスミッションのような基幹部品はまだまだ日本で作って現地に送っているのが現状だ。

自動車部品事業は今後も東南アジアを攻めていく。トーソクの部品事業は全体の95%をベトナムで生産している。今後、アジア地域で基幹部品の現地生産が増えても、ベトナムをグローバルな供給拠点として輸出していく体制に変わりはない。中国の工場は来年の春に立ち上がる予定だ。こちらは中国国内の日系メーカーや現地企業を相手にする。

一方で、システム機器事業部は中国、インドをはじめ新興国を中心に展開を進めていく。特に、検査装置についてはインドのある企業と合弁契約を結んだ。トーソクは精密測定機器の業界では高い知名度を持っている。われわれが測定機器の技術を現地企業に供与し、「トーソク」ブランドで売っていく。今後はシステム機器を橋頭保として、インドで自動車部品の進出を考えていく。

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