大いなる不安定 金融危機は偶然ではない、必然である ヌリエル・ルービニ/スティーブン・ミーム著 山岡洋一/北川知子訳 ~経済危機は回避できる報酬制度などの改革を


 必要な改革とは何か。主なものとして、「金融セクターの高すぎる報酬制度の規制強化を行うこと」「証券化を規制すること」「金融派生商品を公開の場で監視するようにすること」、そして「格付け機関を管理する仕組みを創設すること」を挙げている。

「報酬制度の改革」が筆頭に挙げられている点が興味深い。評者は、報酬が高いことが直ちに悪とはならないと思うが、著者は、短期利益(ボーナスなど)を得たいがために、金融セクターの多くの優秀なスタッフが、高リスクの行動を取りすぎることを問題視している。失敗して金融機関が破綻すれば、最終的にリスクを取るのは、救済に動いた政府、ひいては税金を払う国民ということになるからである。

本書の後半に、今後の日本について気になる記載が見られる。民主党政権による郵政民営化見直しなどによって国の債務がさらに拡大し、極めて危険な状態になるだろうと予想している。しかし、そのような危機も予測できるし、回避可能なはずである。本書は、日本国民にも警鐘を鳴らしている。

Nouriel Roubini
米ニューヨーク大学スターン経営大学院教授。全米経済研究所、経済政策研究センターのリサーチフェロー。1959年トルコ・イスタンブール生まれ。米ハーバード大学で経済学博士号取得。

Stephen Mihm
米ジョージア大学歴史学部准教授。1968年生まれ。2003年米ニューヨーク大学で米国史の博士号取得。19世紀米国の経済・文化史を専門とし、通貨、銀行業務、金融投資の歴史に関心。

ダイヤモンド社 2100円 448ページ

  

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