政治に超熱心な意識高い慶大生に会ってきた 【第1回】若者×政治に希望はあるか?

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若者を政治家に迎合させるだけでは?

常見 当日のディスカッションで終わるのではなくて、その後に続く高校生と国会議員の関係もあるんだね。

ここであえて意地悪な指摘をするね。青木君の「高校生100人×国会議員」というプロジェクトは、「政治への関心を上げる意義があるか否」で言えば、意義はあると思うけど、就活のインターンシップにとても似ている。

就活のインターンシップは、もはや職業体験とはいえないプログラムも多数ある。例えば、会議室に集められて、入社後若手社員はほぼ経験しない新規事業立案を毎日考えさせられて、サポートする社員もイケてる優秀な人ばかり。ここでの就活生は「お客様扱い」だし、しかも会社の一面しか見えないという問題があるんだよね。要するに、青田買いのために、会社を極度に美化した施策になっていないかと。

青木君の「高校生100人×国会議員」というプロジェクトも同じで、政治家も将来の有権者へのアピールのために、いいイメージだけを持ってもらうように振る舞うんじゃないかな?「東大卒だけど、イケメンでさわやかで、面白くて、実はAKBファン」みたいな部分だけを見せて、高校生も「議員の人は全然怖くなくて、いい人たちだ!」という印象だけを持ってしまうのではないかな。

でも現実の政治は、結局は「権力の世界」なわけじゃない?確かに、参加する高校生の前向きな姿勢には希望が持てるけれども、結局「政治に迎合する活動」になってしまっているような気がする。政治に対して、いいイメージしか持たず、政治の持つ汚い「権力の世界」という側面に目が向かないんじゃないかな。

政治家との交流も結構だけど、メディアを読み比べて、政党・政治家や、政策を批判的に見る方がためになるんじゃないの?

青木 「高校生100人×議員」というプロジェクトは、あくまで「キャッチーだから始めた活動」です。僕たちも団体として認知してもらわないといけないし、規模も拡大したい。そのために「国会議員と話せる!」というのを看板にしたという事情があります。

常見 なるほど、高校生にとっても、青木君の「僕らの一歩が日本を変える」という団体にとっても、最初のステップなんだね。

青木 僕はこの活動を高校生からやっていて、今は僕がいなくても回るフレームワークができているので、高校生が回してくれています。

高校生の中には、「女子高生100人×国会議員」みたいな企画をして、自分達で工夫してくれている学生もいます。そこで僕たちは、次のステップへ今向かっています。

常見 次はどんなプロジェクトをやりたいの?

青木 やはり若者の考えを、「実際の政治」に反映させたいですね。国という規模では難しいので、市などの地方自治体規模での反映を目指しています。今の僕の問題意識は、「高校生100人×議員」が真面目な勉強会のようになっていることです。特に偏差値高い学生は、まるで官僚の言うようなことを調べて、発言している。でもただ「言いたいだけ」で、その実現に向かって何か活動しているかというと、何もしていない。

そこで次のステップとして、学生たちが政策まで落とし込んで、市から予算とって、自治体に反映させるプロジェクト始めています。先日も実際に茨城県まで行って、ある自治体とミーティングを行ってきました。

常見 面白いね。そこでは、中高年と「敵対」するのではなく、彼らが「若者の意見を入れると得するな!」という状態になればいいよね。その地方自治体との活動の中から、光るアイデアが出てくることがあるかもしれないね。

ところで、ちゃぶ台をひっくり返すようだけどさ、「一票の格差問題」を考えたら、政治って無理ゲーじゃない?だってきみたちの若い世代は、人口的に少ないし。その辺、無力感ってない?

青木 それは・・・。

早くも若き老害パワー炸裂!意識の高い青木青年はどう答えたのか?

第2回「若者に選挙は『無理ゲー』じゃないか」はこちらから

第3回「『家入一真』とはいったい何だったのか」はこちらから

常見 陽平 千葉商科大学 准教授、働き方評論家

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つねみ ようへい / Yohei Tsunemi

1974年生まれ。北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。同大学院社会学研究科修士課程修了(社会学修士)。リクルート入社。バンダイ、人材コンサルティング会社を経てフリーランス活動をした後、2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師に就任。2020年4月より現職。専攻は労働社会学。大学生の就職活動、労使関係、労働問題を中心に、執筆・講演など幅広く活動中。『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など著書多数。

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