財政再建のアジア模範国家を目指せ、GHQ主導の戦後財政危機克服策に学ぶ


○特別和議法

□ …戦時補償打ち切りにより損失を受ける債権者に対して、個人生活の安定又は健全な法人事業の維持を図るもの。

これらの法律により企業再建整備は大きく進んだ。企業再建整備計画は1954年10月までにすべて提出・処理され、同年12月には83.5%の企業が実行完了している(1982年5月現在では87.3%。なお、この時点の実行未了会社は大半が所在不明)。

また、金融機関の純損失額は275億円で、預金切り捨て180億円等で処理。企業の損失は剰余金と資産評価益で大半が処理され、債権者負担は33%程度に収まることとなった。正直なところよく暴動が起きなかったと思う。

今日の財政再建への応用の視点

さて、この一連の政策を現在に応用して考えてみる。

まず、戦後の企業再建整備策による資産負債調整は、最近の金融機関の不良債権処理に相当期間を要したのとは異なり、比較的短期間で終えている。GHQによる占領統治下という特殊事情もあり、一律の勘定分離策等を強制する等がなじまない部分も多いが、スピーディな政策手段の立案・実施が行われた事例としてその過程を見ることもできる。

金融機関再建整備については預金切り捨てによる処理が大きい一方で、特に企業再建整備に関しては債権者負担が抑えられている。このように、終戦時の資産負債調整がスムーズに達成できた背景には、インフレの役割を指摘するものが多い。今日はむしろデフレ状況が継続しているが、インフレの脅威だけではなく効用も念頭に置いた金融経済政策についても今後の論点となろう(デフレ脱却議連の副会長としてこの視点は整理してみたい)。

個別の措置については、現行の企業再生法制の整備が進んでいない状況下で、戦後の混乱した経済情勢に対応するべく措置されたものであるが、新旧勘定の分離等自体は、今日の企業再生手法の中にもすでに生かされているものがある。

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