財政再建のアジア模範国家を目指せ、GHQ主導の戦後財政危機克服策に学ぶ
藤末健三 民主党参議院議員
2009年末、日本の財政赤字は約900兆円となり、対GDP比180%にも達した(地方も含む)。これは、戦時国債を乱発し財政が破綻寸前までいった第2次世界大戦終戦直前とほとんど同じレベルである。
戦後財政破綻と現在の財政の相違
120年前からの財政赤字の推移を対GDPで見てみると、グラフのようになる。第2次世界大戦時と現在とで、グラフの形状が驚くほど似ていることがわかる。戦時はいったいどのようにして危機を克服したのだろうか。今回は、GHQ主導という特殊事情があったとはいえ、財政危機を克服した戦後政策を学んでみたい。
(注)政府債務総額、国債は会計年度末。GNPは、1944年まで暦年、1946年以降は会計年度
(出所)『数字でみる日本の100年』(改訂第5版)より藤末健三事務所作成
戦時補償債務の状況
戦時補償債務は、企業が行った戦争中の軍事目的での設備投資や軍需品製造について、政府が支払うべき債務である。日本企業の戦時補償請求権の総額は約750億円(1946年4月1日現在の推計)に達していたとされ、1942年~45年の産業資金総供給額(約1117億円)と比較しても大きなものであった。
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