財政再建のアジア模範国家を目指せ、GHQ主導の戦後財政危機克服策に学ぶ


3.そして、「会社経理応急措置法」および「金融機関経理応急措置法」が終戦からちょうど1年後の8月15日に施行されることとなった。これにより、新旧勘定を分離して新勘定で事業を継続し、旧勘定の旧債権債務の決済を棚上げにして戦時補償打切りの打撃をできるだけ少なくするための応急措置が実施された。また、1946年8月21日午前0時以降の経理を新旧勘定に分離し、現に行っている事業の継続等に必要な資産を新勘定、その他の(凍結、整理すべき)資産を旧勘定に所属させる。なお、金融機関の「第二封鎖預金等」は旧勘定に所属することとなった。

「戦時補償特別措置法」等による資産の召し上げ

預金封鎖と企業の資産勘定の分離が行われた後1946年10月30日には、「戦時補償特別措置法」により資産が政府に召し上げられ、これに伴い企業再建整備に関する法律が整備された。戦時補償特別措置法により、戦時補償請求権に100%課税して打ち切り、というある意味で、課税権を濫用した大増税が行われるとともに、金融機関再建整備法、企業再建整備法、特別和議法が施行される。

○戦時補償特別措置法

□ …終戦時までに生じた戦時補償特別請求権に100%の戦時特別税を課す等により、補償打ち切りを行うもの。

□ 打ち切り額の概算は、約918億円(戦時補償請求権670億円、命令融資保証関係50億円、政府保証社債元利金198億円)に達した。この金額は当時のGNP(約4740億円)の19.4%を占める。

○企業再建整備法、金融機関再建整備法

□ …応急措置法により新旧勘定を分離した企業や金融機関について、特別損失計算と整備計画の実行を定めるもの。

□ 特別損失計算では、旧勘定の資産の再評価により損失額を確定させ、定められた負担基準(切り捨て順位)に従って債権カットや減資を行う。その後、新旧勘定は合併され、整備計画の認可を受けて今後の企業経営の基礎を確立する。

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