ホンダ「新型レジェンド」、逆風下の船出 新車より伊東社長にスポットライト
リコール問題と品質管理の説明に大半の時間が割かれた後、発表会の主役である「レジェンド」にも話は及んだ。しかし、伊東社長の話が長かったこともあり、登壇していた開発責任者の青木氏には発言の機会すらなかった。10時25分から始まった質疑応答は、予定時間を15分ほどオーバーして30分近く行われた。新車発表会でありながら、伊東社長の”力説”が目立つ会見だった。
一方、今回の主役であるレジェンドは1985年に登場した高級セダンで、新型モデルが5代目。旧型は2012年に生産を終了していたが、国内販売のテコ入れを狙い、新たにハイブリッドシステムを搭載して復活した。3つのモーターとV6 3.5L直噴エンジンを組み合わせることで、出力は382馬力と旧型から2割以上引き上げた。
土壇場で発売日を変更
また、レーダーとカメラで、道路脇の歩行者を検知し、衝突する恐れがある場合は自動でハンドルを動かして回避する世界初の安全運転支援システムを搭載するなど、ホンダの先進技術が惜しみなく詰め込まれている。価格は税込み680万円で、月間の販売台数は300台を目標にしている。
昨年末に投入したヴェゼル以来の新車となるレジェンドの発売は当初、年内の12月15日を予定していた。実は、ホンダは11月10日の発表会直前に来年1月22日に延期することを決めている。「(安全運転支援システムの)Honda SENSING等、新技術搭載に伴い、さらなる総合品質検証、熟成の観点から」というのがその理由だが、土壇場の予定変更からしても、ホンダが車両の不具合に対して相当ナーバスになっている様子が伺える。
伊東社長は発売日の延期について、「完全なものをお客様に渡す活動の現れと、ご理解を頂きたい」と述べた。そこにはフラッグシップモデルの新車投入では、絶対に失敗は許されないという緊張感が伝わってくる。
向こう4カ月で6車種投入
12月1日にはフィットの兄弟車となるコンパクトセダン「グレイス」を発売する予定で、今年度中(15年3月まで)に立て続けに6車種の新車を投入する。ほかの新車でも開発プロセスを精査し、品質検査に時間をかけているが、投入計画に変更はないという。
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