調剤薬局、24時間体制が時代の要請に 薬剤師が直面する地域包括医療への対応

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夜間に煌々と灯る調剤薬局の看板

全国の調剤薬局が、「24時間体制」を整備する理由の根底には、在宅医療への大きなうねりがある。厚生労働省は、医療費抑制の観点から、入院長期化を抑える一方で、在宅診療の充実を重点課題に掲げる。具体的には、地域包括診療という取り組みを推進し、「かかりつけ医」や「かかりつけ薬局」の選別を国民の間に定着させようとしている。カギとなる地域の調剤薬局に対して、在宅患者訪問に対する加算点数をわざわざ設けている。

たとえば、今回取り上げたモデル店のクオール港北店でも、地域包括医療への取り組みは芽生えつつある。1つは、横浜市北部病院を退院後に診察を受けた患者が同店に処方箋を提出するケースが増えたことだ。「北部病院の薬剤師との連携で、たとえば患者さんに合った抗がん剤をきちんと服用してもらえるように服薬指導にも力を入れている」(佐々木ブロック長)。このほか、有料老人ホームなど周辺の施設を訪れて、医師の在宅診療とのタイアップで訪問型の調剤サービスを積極的に行うことも方向性として打ち出している。

従来、調剤薬局といえば、大病院やクリニックの脇に寄り添って来店客を待ち構えるだけ。営業時間が来ると閉まるという印象が強かった。が、実際のところは、店舗の代表番号に電話をかけると、担当の薬剤師が顧客対応をしてきた。今後は、その業務が時間制限なしで、素早く店に駆けつける要求レベルまで求められる時代が来た。

これが「かかりつけ薬局」のあるべき態勢だ。言い換えれば、地域に密着したコンビニエンスストアのような店舗運営をしないと、地域の医療機関からも見放されて、軒を並べる他のライバル薬局との競り合いから脱落するという運命が待っているということだろう。                

古庄 英一 東洋経済 記者

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ふるしょう えいいち / Eiichi Furusho

2000年以降、株式マーケット関連の雑誌編集に携わり、『会社四季報』の英語版『JAPAN COMPANY HANDBOOK』、『株式ウイークリー』の各編集長などを歴任。

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