調剤薬局、24時間体制が時代の要請に 薬剤師が直面する地域包括医療への対応
14年4月に始まった調剤報酬見直しでは、在宅診療に対応した調剤薬局を増やす観点から、調剤技術料の項目で細分化された施設基準を見直した。ここに、24時間調剤および在宅業務を提供できる体制整備を明確に加算する要件が明文化された。
こうした改定は、調剤薬局にとって、収益の増減にかかわる一大事であって、従来はクオール港北店のように水面化の取り組みだった夜間や休日等の営業活動を表立って推進する起爆剤になったようだ。調剤薬局は、どこも出入口に閉店中の電話連絡先を以前より目立つように掲示している。さらに、各社は薬剤師が24時間常駐する店舗のテストを始めている。
調剤薬局最大手のアインファーマシーズは、今年8月1日に川崎市の登戸店を年中無休の24時間開局にバージョンアップした。「川崎市立多摩病院が夜に営業してほしいと要望を受けていた。改定を機に在宅医療を含めたあり方や問題点を知るためにも病院と連携して取り組むことにした」と同社の大石美也常務は説明する。
登戸店は、救急診療への対応力向上の一方で、駅前での夜間営業のメリットを生かし、一般医薬品を約160品目取り揃えた。「処方箋がなくても同店に来店して一般医薬品を購入する機会を提供したい」(大石常務)と営業時間延長のメリットを最大限に取り込もうとしている。
マンパワー確保が課題
夜間(午後7時から翌朝9時まで)の処方箋枚数は「平均すると1日10枚強。真夜中はとても少ない状況」(同社)。3カ月が経過したが、病院側の対応を含めて、手探り状態だ。
登戸店の場合、自局単独の24時間開局へと一気に切り替えたので、薬剤師のマンパワー確保が大変だ。「夜間に電話がかかってくることも少なくない。東京圏で働く社員が輪番制で登戸店を担当している」(同)。幹線道路沿いの店舗だが、夜間や早朝の自動車の往来は意外と少ない。真夜中は防犯面で特段の措置が必要で「強化アクリル製のパーテーションを設けてスタッフの身の安全にも配慮している」(同)。
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