中国オンラインショッピングの波は農村に届くか、楽天・ヤフーも本格展開だが…
オンラインショッピングでも都市部と大きな開きがあり、都市部のオンラインショッピング利用者数8784万人(ネット利用者の31.7%)に対し、農村部では1880万人(ネット利用者の17.6%)しか利用していない。
「農村部は貧しいからPCが買えないし、ネットインフラも不十分なのだろう」と思ってはならない。確かに所得は都市部よりもぐんと低いが、農村部の中心の町にはネットカフェは数え切れないほどある。多くの農村部のネット利用者の最たる目的はオンラインゲームだ。
なので、ネットカフェには安価で古いPCを並べたのではなく、最新のオンラインゲームが遊べるよう、各ネットカフェが競うように高性能のPCを導入している。インターネット回線もオンラインゲームが遊べるほどに、農村でもそれなりの速度が出るわけだ。
農村部におけるネット利用者にはオンラインゲームのほかに、音楽やビデオの視聴も人気だ。つまり多くの中国の農村のネット利用者にとって「インターネット=娯楽」である。
中国と日本を比べても、若者のネット利用者が多いために中国での利用用途は遊びに特化しているが、農村部ではその傾向が一層、強まる。もちろんPCが家にない消費者の多くが「ネットカフェを利用するカネはあっても、オンラインショッピングを利用する金がない」という理由を抱えているだろう。
だが、中国に滞在する筆者の皮膚感覚では、それと同等かそれ以上に、そもそも「オンラインショッピングに興味はない」し、「ニュースサイトを見ないから、流行や新製品を知ることがなく欲しいモノがない」のである。
消費者の心理的ハードルとは別のハードルもある。宅配便サービスである。
中国では中国郵政によるいわゆる「小包」やEMSのほか、外資系のFedex、それに中国民間企業数社が宅配便サービスに参入しているが、消費者が望む「早さ」「信頼性」「安さ」で競った結果、中国の民間企業「円通快逓」「申通快逓」「中通快逓」の3社のサービス利用が定番となっている。