トヨタ、今期純利益予想は初の2兆円 今期業績予想を引き上げ

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 11月5日、トヨタ自動車は5日、2015年3月期の連結業績予想を上方修正した。減益を見込んでいた今期純利益は一転して増益となる見通し。 パリで10月撮影(2014年 ロイター/Benoit Tessier)

[東京 5日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>が5日発表した2014年4―9月期連結決算(米国会計基準)は、営業利益・純利益ともに同期として過去最高益を更新した。円安効果や原価改善が寄与した。

2015年3月期の連結業績予想も引き上げ、営業利益と純利益に加え、売上高も過去最高となる。減益を想定していた純利益は一転増益となり、2年連続過去最高で初の2兆円を目指す。

今期の純利益について、従来は前期比2.4%減の1兆7800億円を見込んでいたが、同9.7%増の2兆円へ引き上げた。トムソン・ロイターの調査によると、アナリスト25人の予測平均値は2兆0204億円となっており、会社の修正値は市場予想をやや下回る。

今期の営業利益は同9.1%増の2兆5000億円となる見通し。従来予想の2兆3000億円から2000億円引き上げた。円安効果が1350億円押し上げるほか、原価改善努力も500億円プラスに働く。

今期の売上高予想は同3.1%増の26兆5000億円に上方修正した。過去最高(08年3月期の26兆2892億円)を7年ぶりに更新する。従来の25兆7000億円から8000億円上積みした。このうち、円安による増収効果は約7000億円に上る。

今期の想定為替レートは1ドル=104円(同101円)、1ユーロ=137円(同136円)にそれぞれ円安方向へ見直した。

小平信因副社長は決算会見で、自動車は「足の長い産業」と指摘し、為替相場が「長期的に安定することがビジネス環境として良い」と述べた。どのレベルの為替水準が望ましいのかについてはコメントを控えた。また、為替レートの変動によって「生産体制を見直すことはない」とし、販売が増える地域で生産するのが基本との考えを示した。

今期の研究開発費は9800億円、設備投資費は1兆0300億円と従来計画から200億円、100億円それぞれ上積みした。小平副社長は、工場の新設凍結は16年3月までとなっており、「既存設備の最大活用と徹底的な投資効率の改善に取り組んでいる」と語り、「中長期的な持続的成長の実現を図る」と述べた。

<今期販売計画は下方修正>

2015年3月期の世界販売計画については905万台(従来は910万台)に下方修正した。地域別では、日本が219万台(従来は221万台)、タイなどのアジアは154万台(同158万台)、アフリカなどを含むその他地域で171万台(同174万台)にそれぞれ引き下げ、海外全体として686万台(同689万台)に減らした。

小平副社長は、消費税率8%に引き上げられた国内市場について、「かなり低迷している。だんだん回復していると思うが、底を打ったかはまだ確信が持てない」と述べた。

一方、北米は274万台(同271万台)、欧州は87万台(同86万台)にそれぞれ上方修正した。米国市場について、小平副社長は「状況が非常に良く、暦年で1640万台規模の市場になるのでは」と指摘。個人消費動向、GDP(国内総生産)成長率も高水準で、米国経済は「来年も成長する」とみており、現時点では「市場全体、トヨタのビジネスとしても懸念材料は持っていない」とした。

<4―9月期は最高益、中間配当10円増配>

2014年4―9月期連結決算では、売上高が前年同期比3.3%増の12兆9456億円、営業利益は同7.7%増の1兆3519億円、純利益は同12.6%増の1兆1268億円となった。営業利益、純利益ともに同期として過去最高を更新した。

米国や欧州での販売が好調だったほか、円安が営業利益を約700億円押し上げた。未定としていた中間配当は前期比10円増配の75円にすることを決めたことも同時に発表した。

ちばぎんアセットマネジメントの奥村義弘調査部長は「慎重な見通しを出す傾向にあるトヨタにしては業績予想の数値をわりと多めに乗せてきた印象だ」と語り、増配の発表は「経営陣の業績に対する自信がうかがえる」と述べた。対ドルで104円に修正した通期の想定為替レートも、「足元の為替水準と比較すれば、業績に一段の上振れ余地がある」との見方を示している。

一方、米国で深刻化しているタカタ<7312.T>製エアバッグのリコール問題に関して、小平副社長は「顧客に心配、不便をかけて申し訳ない」と述べ、「できるだけ早く迷惑を解消し、改善のための部品手当てを速やかに行い、ディーラーに届けることが先決」とした。ただ、タカタとの今後の取引関係などについては「個別の会社に関わる」としてコメントを控えた。

 

 

(白木真紀 取材協力:杉山容俊)

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