3メガバンクが直面する最大の危機 2行の根幹業務が「赤字」という深刻事態!

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3メガバンクはともに2014年3月期に連結ベースで過去最高純利益をたたき出しているが、単体ベースの国内の主力業務は極めて低収益に喘いでいるというのが実態だ。

そのような中、三井住友銀行は今年4月に国内営業体制を15年ぶりに刷新した。総資金利ザヤのプラス維持でもわかるように、三井住友の営業力の強さには定評があるのだが、それでも大改革に着手せざるをえなかった。過去最大規模の人事を発令し、より顧客のニーズに合わせた形の組織に再編した。

特に力を入れているのが、中小企業オーナー向けの営業だ。オーナーは経営者であると同時に、個人としては富裕層。相続や資産運用などで悩みを抱えていることが少なくない。そうしたニーズに対応できるような組織に変えたのだ。

ただ、このことが現場で戸惑いを生んだ。オーナーに対して法人向け営業と個人向け営業の両者で対応するようにしたのだが、両方を経験している営業員はごくわずか。それぞれの担当者が、これまであまり経験をしていなかった新しい営業に取り組まなければならない。

「新体制に合った営業手法が見えない」

4~6月ごろは「新体制に合った営業手法が見えない」という中堅営業員の戸惑いの声が上がった。7月以降はこうした新たな体制による営業の手法を各拠点で編み出しつつあるが、それが利益という形で数字になって表れるにはまだ少し時間がかかりそうだ。

みずほ銀行は国内営業体制の立て直しへ向け、まずはガバナンス(企業統治体制)を強化する必要があった。みずほ銀行の親会社であるみずほフィナンシャルグループ(FG)は、メガバンク初となる委員会設置会社へ6月に移行した。ガバナンスの高度化は昨年2月に掲げた中計からの課題だったが、昨年秋に発覚した反社会的勢力への融資問題で、「縦割り組織の弊害などガバナンスを含めた根本的な問題の洗い出し」を金融庁から迫られ、一部業務の停止などの行政処分を受けたことが直接の引き金になっている。

委員会設置会社のポイントは、社外取締役の活用だ。みずほFGの取締役は13人中6人が社外取締役という体制になった。昨年までは12人のFG取締役のうち社外は3人だけという状況だったから大幅な拡充だ。

新しく就任した日立製作所の元会長、川村隆取締役は、佐藤康博社長に取締役会で厳しい質問を浴びせている。「国際業務におけるみずほのリスクの取り方は保守的なのではないか」など。取締役会議長を務める大田弘子元経済財政政策担当相も「みずほ銀行とみずほコーポレート銀行を昨年7月に統合した効果が十分に出せていないのではないか」と取締役会で指摘した。

3メガバンクは11月13~14日に第2四半期決算を発表するが、貸出金利は第1四半期よりも第2四半期のほうが低下している可能性が高い。また、10月31日に日銀が追加緩和を発表したことで、金利は一段と低下傾向にある。今後、貸出金利はさらに低下を続けると思われ、銀行の貸出業務の収益はますます苦しくなるだろう。銀行はいま、存在意義すら問われかねないほどの危機に直面している。

メガバンク3行を中心に、銀行がいま抱えている課題は何か。それにどんな対応をしているのか。
週刊東洋経済が2014年11月8日号(11月4日発売)の第1特集で描いた「銀行サバイバル」をぜひご覧ください。

 

福田 淳 東洋経済 記者

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ふくだ じゅん / Jun Fukuda

『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などを経て編集局記者。

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