DRAM“ジリ安”の不安、厳冬に構えるエルピーダ

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 だが、好況期は長く続かなかった。「今年6月まではDRAMは逼迫していたが、7月を境に調整局面に入っている」(半導体商社社長)のだ。

需要側では、世界的にパソコン販売は拡大しているものの、景気悪化で欧米市場が減速。パソコン1台当たりのDRAM搭載容量が一時期の高値で伸び悩んでいることも響いている。一方、供給面ではDRAMの微細化が進んだことで、ウエハ1枚当たりの生産数量が着実に増えている。

先安感が広がると、実際の需給以上に価格が弱含むのは市況品の宿命。1ギガビット(DDR3)の価格は現在、スポット、大口価格ともに2ドルを割り込んでしまっている。

韓国サムスン電子やエルピーダなど上位メーカーの損益分岐点は1ドル前半とされ、現状なら黒字を維持できる。とはいえ、需給バランスの大幅改善は望み薄で、「来年
の旧正月(2月初旬)までは1・7ドル、最悪で1・5ドル以下もありうる」(半導体調査会社アイサプライ・ジャパンの南川明副社長)。

11年以降も悲観的材料が多い。パソコン販売は「ウィンドウズ7」への移行本格化の期待はあるが、欧米市場の力強い成長は望めない。

一時人気だったネットブック(ネット機能に絞った低価格ノート型PC)がスマートフォンやタブレットPCに食われ出していることも逆風だ。こうした端末はネットブックに比べDRAM搭載容量が少なく、高機能化による容量拡大が進むまで、DRAM需要を抑える材料になりかねない。

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