ファーストリテイリングの今期は踊り場か? 国内ユニクロの秋冬物不振が響き4期ぶりの減益に
ファーストリテイリング(FR)の今2011年8月期は、国内外を含めた出店で増収は維持するものの、前10年8月期は好調だった主力の国内ユニクロの秋物の販売不振が響き、営業減益になりそうだ。
会社は売上高8560億円(前期比5.1%増)、営業利益1135億円(同14.3%減)と期初計画を示した。主力の国内ユニクロ事業は通期で4.7%減と軟調に推移するが、国内外への積極出店を続け増収は維持できる見通しだ。
ただ、9月の国内ユニクロの既存店売上高が前年同月比24.7%減となるなど秋冬商品が苦戦しており、前期の1.4倍と拡大販売する機能性肌着「ヒートテック」等の在庫リスクが顕在化しそうだ。不良在庫処分から値引き販売等が拡大する可能性が高く、採算低下で上期(10年9月~11年2月期)を中心に営業減益は免れないものと判断する。以上から、「東洋経済オンライン」では会社の減益計画に合わせ、表記のとおり予想する。
前期は、売上高8148億円(前期比18.9%増)、営業利益1323億円(同21.9%増)で着地した。大ヒット商品の「ヒートテック」を5000万枚投入、粗利益の高い同商品を完売したほか、同商品目当で来客数も増えたことで、「ダウンジャケット」や「ネオレザー」などのアウター商品の販売も伸長、大幅な増収増益となった。ただ、10年3~8月期(下期)は既存店がマイナス成長に転落し、同期間では減益となるなど、直近では課題の残る年度となった。
今期は残暑が長引いたことに加え、前期好調だった秋冬物の反動で、国内ユニクロは期初から大苦戦している。不振の理由について、柳井正社長は天候要因のほかに「表面的なファッションを追いかけた商品が増えている」(柳井正社長)点を挙げた。中途半端に流行を取り入れたことで、万人に受け入れられる商品の構成が減少しているという。