マクドナルド、労使でかみ合わない言い分 「キャリア支援制度」という名の退職勧奨?

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10月7日の緊急会見で説明したカサノバ社長(撮影:猪澤顕明)

外食業者として重要な「サービス力」についても、現場の率先垂範となるべき店長に「お客の呼び込みや追加注文を進める能力が落ちている。本部もそれを言ってこない」(現役社員)といった不満が漏れる。現場に余力がないせいか、さまざまな商品プロモーションを仕掛けても、客足が思うように戻ってこない。

そうした中、7月のチキンショックが追い討ちを掛ける格好となった。10月7日の緊急会見でカサノバ社長は「この結果を大変重く受け止めている。やれることをすべてやるのが経営陣の責任だ」と語った。

先決すべき課題

カサノバ社長は91年にマクドナルドカナダに入社した後、04年から09年まで、日本マクドナルドでマーケティングや経営改革を担当する執行役員を務めた経験を持つ。

当時を知る元幹部は「論理思考のできる非常に優秀な人物」と、カサノバ社長を高く評価する。その時は、たたき上げで外食マーケットに精通した社員によるサポートがあったことが大きかった。しかし今、「本部には転職してきた優秀な人が多くいるのだろうが、現場を知っている人がいない。だから戦略もちぐはぐになっている」とその幹部は苦言を呈す。

 喫緊の課題は消費者からの信頼回復だが、チキンの問題で顧客と直接対面するのは店舗の社員やクルー(アルバイト)だ。それだけに、先決すべきは、”退職勧奨”をめぐる労使間のわだかまりを取り除くことだろう。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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