産業天気図(電気・ガス業) 冷夏で明暗、電力会社には逆風、ガス会社には追い風が吹く

今夏が予想以上の冷夏に見舞われ、電力会社とガス会社は明暗を分けた。夏場の冷房需要が大きい電力会社には逆風が吹き、給湯需要が大きいガス会社には追い風となった。
 電気事業連合会の調べによると、8月の発受電電力量(10電力会社ベース)は、前年同月比4.4%減。7月の12.5%減に比べればマイナス幅は縮まったが、最大の需要期に2カ月連続の前年割れは痛い。また今年の場合、東京電力による「原子力発電所トラブル隠蔽」に伴う操業停止が尾を引き、電力不足危機から節電キャンペーンを行った。“首都大停電”という未曾有の事態は避けられた反面、電力会社にとって売上高となる電気の節約を自ら呼びかけたうえ、冷夏とのダブルパンチで、収入減に拍車がかかった形だ。さらに原発代替で火力発電所をフル稼働させた結果、原発に比べてコストの高い燃料費高も直撃した格好だ。
 個別に見ると、東電は原発の稼働率低下や燃料費高騰などを、修繕費などをはじめとする600億円もの猛烈なコスト減で吸収。低金利もあり、かろうじて今期は経常増益を維持する見込みだ。ただ、コスト削減などでカバーできない中国電力や北陸電力は減益になる。東北電力や中部電力、四国電力も横ばい程度にとどまる。
 一方でガス会社は恩恵を受けた。
 日本ガス協会の調べによると、8月の都市ガス販売量(全国229事業者)は、前年同月比3.4%増。これで昨年4月以降、17カ月連続の増加となった。やはり平均気温の低位推移で、家庭用を中心に給湯需要が伸びたことが大きく、火力発電向けに工業用も手堅く伸びている。また地方では、従来のプロパンによるLPガスから、パイプラインによる都市ガスへの転換が着々と進んでおり、この構造変化はもはや止められないだろう。中小のLPガス会社は、再編・淘汰が避けられなくなりつつある。
 個別に見ると、東京ガスは当初の減益見込みから、増益転換へと上方修正した。大阪ガスや東邦ガス、西部ガスも増額の勢いだ。本来の需要期であるこの冬が、厳冬となるか暖冬となるかで大きく左右されるが、それでも上期の“貯金”は小さくない。気温次第とはいえ、会社によっては、さらなる上方修正の可能性もある。近年の規制緩和で、電力会社とガス会社の相互参入が加速し、互いに競合しつつあるが、足元の現状はガス業界の方が一歩リードした形である。
【大野和幸記者】

(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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