「世界一」の可能性は30%、いいなら実行[上] 柳井正・ファーストリテイリング会長兼社長に聞く

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「2年で4倍」の背後には、澤田、玉塚、堂前宣夫(元マッキンゼー)、森田政敏(元伊藤忠)たちの「チーム経営」の力があった。柳井の言葉はズバリ本質を突く。が、それゆえに断定的で抽象的。澤田たちは咀嚼(そしゃく)し、翻訳して現場に伝えた。

澤田が言う。「現場に知恵があり、解がある。柳井さんは正しいことも間違うこともある。それ、違いますよ、と言えた。面白かった」。トップダウンとボトムアップががっちりかみ合った。柳井は思ったはずである。いま一度、この局面でこそ、チーム経営の力を試してみたい--。

が、玉塚社長は3年で終わった。解任である。玉塚は安定成長を目指した。急成長後、急降下したユニクロであれば、妥当な選択だろう。

僕のほうが異常なんです

柳井は我慢できなかった。

「玉塚君はバランスの取れたいい青年。僕のほうが異常なんです。僕は安定成長じゃダメだと思っているんですよ。成長できるし、成長しなければならない」。早くから、H&MやZARAなど世界の大手を強く意識していた。3000億~4000億円あたりでウロウロしていたら、早晩、飲み込まれてしまう。

「ぬるい経営になっている。もう一回、お互い勉強し直そうじゃないか」。それぞれ欧州、米国の現地法人社長への転出を命じられた玉塚、堂前はユニクロを去った(堂前は後に復職)。社長に復帰した柳井は、MD(商品・計数)本部長、マーケティング本部長も兼務した。「現場に入らないとわからないでしょう、会社を変えようと思ったら。だし、掛け声だけでは人は動かないんですよ。実際に一緒に仕事しないと」。

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