埼玉・小川町メガソーラー、大量盛り土への大懸念 経産相が異例の見直し勧告、事業者説明に虚偽疑惑

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さらに地元住民の撮影による写真(写真C)で見ると、私が撮った写真には映っていない地すべり地の先から崩落した崖を仰ぎ見るアングルとなっており、崩落のすさまじさがわかる。

写真C :台風19号翌月に住民による崩落地調査で撮影された写真(写真:2019年11月、鈴木邦彦氏提供)

環境アセス準備書の中で、事業者はこの崩落について、「過去のゴルフ場造成工事により盛り土が行われたが排水路が未整備だったために起こった」とする見解を示した。

この事業者の見解を疑問視し、より詳細な調査や地盤安定化対策を求める指摘が、専門家から相次いだ。

原因は地域特有の地質?

事業予定地から約300m離れた小川町笠原で農業を営む桑原衛さん(64歳)は、大学で土木工学と水文学を専攻して修士号を得た後、国際開発協力関連の仕事に携わった。桑原さんによると、事業予定地内の大規模な崩落は、円弧を描くように表層がすべり落ち、すべり面が接した面を破壊したタイプの地すべり。専門用語で「底面破壊型の地すべり」という。桑原さんは、その原因は過去の工事による盛り土にあるのではなく、この地域特有の地質による可能性が高いという。

確かに、小川町が1999年に発行した本「小川町の自然 地質編」には、「小川町は地質の博物館」とする章が設けられている。地質の複雑さは、全国で注目され、研究者がよく訪れる地らしい。事業予定地について、桑原さんは「このあたりは、2億〜3億年前の古生層の上に、より新しい地層が載って重なっている。砂岩と泥岩が交互に重なり、その間に粘土質の土もあるモザイク状の地質で、地盤の安定性を確保するには、最も扱いづらい」と指摘する。

そのような厄介な地質の地盤を安定させるには、どうしたらよいか。桑原さんは「まず多くの地点でボーリング調査をきちんと行い、地盤内の状況を把握する。さらに、地すべり面があれば、崩積土を全部取り除く。地すべり面の上に盛り土をするのは、自殺行為。そのうえで段差工や排水路を整える必要がある」と説明する。準備書は、そうした手当てを行うことについてまったく触れていない。

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