「株価が10倍に化ける株」達人が教える"超発掘法" 「業績回復に向かい始めた企業」はこう探す!

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一方、増収増益の企業の株はさらなる成長性が見込めるので、高くても買いたいと思います。赤字からの黒字転換、減収減益から増収増益への方向転換によって市場の評価が180度変わり、減収増益の状態にある株よりも大きなリターンが見込めるわけです。

テンバガーも狙える景気敏感株

3つ目の条件「景気敏感株」は、個々の企業の収益サイクルではなく、市場全体、経済全体のサイクルに関連する話です。たとえば、リーマンショックの前後から景気が悪くなり、アベノミクスによって景気がよくなるといった大きなサイクル。

このような動きに業績が左右されやすい企業の株を景気敏感株といいます。具体的には、鉄鋼、化学、紙パルプなど素材産業の企業や、設備投資と関連性の高い工作機械メーカーなどがこのタイプに含まれます。

景気と業績が連動する背景として、たとえば、景気がよくなるとモノが売れるので、増産するための設備投資が活発になります。また、鉄鋼や化学産業は巨大な生産設備を保有しているなど固定費が高いため、景気の変動で売り上げが大きく振れると利益はもっと大きく振れる傾向にあります。

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このように業績が大きく振れることで、株価も大きく上下に振れる循環を繰り返すことから、景気敏感株は景気循環株とも呼ばれます。

これを踏まえて現状を見渡してみると、コロナ禍によって景気は一時的に悪化しましたが、その後はすぐにもち直し、回復から上昇に向かう傾向が見られます。コロナ以前の日経平均株価が2万3000円前後、コロナショック下で1万7000円前後まで下落しましたが、そこから1年もしないうちにコロナ前の水準まで回復し、さらに3万円前後まで伸びています。

仮にコロナ禍が、バブル相場、ITバブル、アベノミクス相場のような景気拡大の局面になるとすれば、このサイクルが追い風となって業績が回復に向かう業種や業界があると考えられます。好景気で業績がよくなり、その結果として、減収から増収となったり、赤字から黒字転換したりといった変化が起きることで、株価10倍のテンバガーも十分に狙えるというのが私の考えです。

さて、ここで挙げた3つの条件いずれかに合う企業を会社四季報で探していくと、いくつか銘柄が浮かび上がってくるでしょう。

渡部 清二 複眼経済塾 塾長
わたなべ・せいじ / Seiji Watanabe

「会社四季報オンライン」でコラム「四季報読破邁進中」を連載。1967年生まれ。1990年筑波大学第三学群基礎工学類変換工学卒業後、野村證券入社。個人投資家向け資産コンサルティングに10年、機関投資家向け日本株セールスに12年携わる。野村證券在籍時より、『会社四季報』を1ページ目から最後のページまで読む「四季報読破」を開始。2014年の独立後も25年以上継続中で、2022年10月1日には四季報100冊読破。2014年四季リサーチ株式会社設立、2016年複眼経済塾設立。公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定AFP、国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト

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