グーグルの爆発的成長を支えた超シンプルな秘密 個の力を引き出しながら組織も一枚岩になる

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このようにOは「コレやるぞ」と気合いが入る遠くの目標、KRは「Oの実現のためコレは着実にクリアする」と身近に感じるものを設定する。KRによる短期目標や締め切りの設定は、業務遂行を促す効果がある。あなたも「今日の夕方までにコレを仕上げる」と決めれば、すぐに取りかかるだろう。

グーグルの爆発的成長を支え、世界に広がるOKR

いまやOKRはツイッター、リンクトイン、オラクルなどのシリコンバレー企業にとどまらず、BMW、ディズニー、サムソン、エクソンなどの大企業でも活用されており、日本でも花王などの大企業が本格導入を始めている。

そのOKRの伝道師と言われるジョン・ドーアが執筆したのが『Measure What Matters 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法OKR』(日本経済新聞出版)だ。本書に序文を寄せているグーグル創業者のラリー・ペイジは、こう述べている。

「グーグルが大きく成長するうえで、OKRは重要な役割を果たした」

OKRは社員の潜在能力を引き出し、全社員が同じ課題に一枚岩で取り組めるようにする目標設定・管理の方法論だ。同じ課題を全員が共有し、個人が目一杯の能力で取り組めば、会社はとてつもない力を発揮する。

著者のドーアは伝説のベンチャーキャピタリストだ。OKRの伝道師としてグーグルをはじめ投資先企業に数十年間、OKRを布教し続けてきた。数あるOKR解説書の中でもドーアが書いた本書は、筆者として一推しなので紹介したい。

■OKRを全社で展開する

OKRは会社全体で毎四半期ごとに「企業のOKR」→「部門/チームのOKR」→「個人のOKR」へと展開する。個人のOKRでは、各自で「自分は何をしたいのか」を考え、会社・部門のOKRと整合性のとれた自分の目標(O)を設定し、主要な結果(KR)を決める。そして上司・同僚・部下とオープンに共有し、KRの進捗を毎週細かく確認していく。こうしてメンバーが目標を共有して連携し進捗管理するチームは、大きな能力を発揮できるのだ。ここで重要なポイントが、OKRの評価方法だ。

四半期が終わったら、達成度でKRを採点して検証する。目標数値は客観的なので、結果は明快だ。グーグルでは0から1.0の尺度でスコアを色分けし、評価する。

・0.0~0.3……赤(進捗はなかった)
・0.4~0.6……黄(進捗はあったが完了できなかった)
・0.7~1.0……青(完了)

「毎日5キロ歩く」というKRを設定したイケダさんが3カ月間毎日歩いたら、達成度は1.0。ただし「1.0を達成したから、それでオーケー」ではない。

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